イチローに限界なし 走る速度は「5年前と比べても速いと思う」
「カージナルス3-6マーリンズ」(17日、セントルイス)
マーリンズのイチロー外野手(42)はカージナルス戦に「1番・中堅」で出場し、4打数3安打1四球、1得点、1盗塁。6月13日以来、今季5度目の猛打賞で打率を・347とした。メジャー通算安打数は2994本となり、史上30人目の偉業まで6本に迫った。
気温35度のデーゲーム。体感温度が40度に達したフィールドでイチローが打って、走って今季5度目の1試合3安打。「そこそこ暑かったですねぇ」。試合後はさすがに疲労の色を隠せなかった。
2日のブレーブス戦以来、10試合ぶりとなる先発出場を知ったのはこの日の朝になってから。それでもいつもどおり、試合開始1時間半前にフィールドに出てストレッチやキャッチボールで準備。プレーボール直後の打席で中前打を放ってみせた。
真骨頂は2安打目、六回の左翼線二塁打だ。カウント1-2と追い込まれながら右腕ボウマンの決め球、内角低めの148キロ高速スライダーを詰まらせながらライン際に落とした。
投手との駆け引き。イチローは追い込まれた状況で甘い球を待つようなことは絶対にしない。イメージするのは厳しい球、相手のベストピッチだ。それを粉砕することで相手に苦手意識を植え付け、次回の勝負で優位に立つ。「僕が選手として大事にしていることの一つ」と言い切った。
この日唯一の凡退は三回の打席だ。遊撃手の前に弾ませた打球に快足を飛ばして一塁を駆け抜けた。いったんは「セーフ」となったが、敵軍が要求したビデオ判定の結果、「アウト」に変わった。
それでも打ってから一塁到達までの時間は驚異の3・7秒台。八回にはその俊足を生かして内野安打と今季8盗塁目となる三盗を記録した。大リーグ公式サイトのデータ解析によると、昨季のイチローの一塁到達までの平均時間は3・98秒。「去年より(走る速度が)速いというのは感触的にはわかってる。多分、5年前と比べても速いと思いますね」。前に進み続ける42歳。イチローの中に『限界』の2文字はない。