なぜ「ピカソは誰よりも人間的」か
「ピカソ」と言えば、反戦・抵抗のシンボルとして有名な『ゲルニカ』に代表されるような独特の作風をイメージする人が多いはず。一般的には理解しがたい作風ですが、「あべのハルカス美術館」(大阪市阿倍野区)で開催されている『ピカソ、天才の秘密展』では、そこまでに至る彼の「人間的」な作風の変化を垣間見ることができます。
今回の展覧会は、世界的にも珍しいピカソの少年時代から44歳頃の作品を収集したもので、彼の変遷を追いながら鑑賞できます。この流れのキーとなるのが、彼のその時々の心情の変化。ゴッホやセザンヌに傾倒していた時期や、友人の自殺により作風が一変したメランコリックな「青の時代(青絵の具を多用)」、パリに移住して恋人や芸術家仲間と楽しい時間を過ごした「バラ色の時代(ピンク色を多用)」など、一連の作品に彼の心境が反映されていると知ると、ピカソって実はわかりやすい人だということが見えてくるはず。
「描きたいと思ったものをいろんな方法で、本能的に自分の欲望や感情に対して正直に、これほど人間的に生きた人もいない」と主任学芸員の浅川真紀さんは話し、「人間であるということを突き詰めて生み出されているのがピカソ作品」とも。
ピカソは1907年、現代美術の大きな動きとして「キュビスム」を生み出します。「キュビスム」とはキューブ(立体)に由来するネーミングで、いろんな角度から見たモノの形を一つの画面に収めるという作風。「人間臭いピカソだからこそ、多方面からその人を分析して、いろんな角度から表現した」と言われたら、その鑑賞方法も大きく変わってくるはず。それまでの彼の人生と言葉の意味を本展で知ることができます。会期は7月3日まで、料金は一般1500円、ほか。
取材・文・写真/谷知之
(Lmaga.jp)
