「至高の練習試合」 日本一監督のさい配

 次にどんな一手が打たれるか-。2人のさい配を見ていると、新たな戦術、野球の可能性を再発見させてくれた。7月3日に舞洲で行われた練習試合。昨年、夏の甲子園を制した東海大相模と一昨年の王者・大阪桐蔭が激突した。

 ダブルヘッダーで組まれた試合はともに1点差。選手のレベルもさることながら、目を見張ったのは門馬敬治監督と西谷浩一監督振るったタクトだ。

 第1試合、中盤から大阪桐蔭ペースとなり5点を追う展開で迎えた八回裏。ヒットと相手失策で無死一、二塁とすると、「負けているときこそ動きたいから」と門馬監督は初球、2球目と連続してヒットエンドランを仕掛けた。

 セオリーなら走者をためる場面で、失敗すれば流れは一気に相手へ傾く。だが相手投手の動作を確認し、走者は完ぺきなスタートを切った。結果的にダブルスチールとなり、2点を返して最終回は3点差。明らかに攻撃の勢いが生まれ、九回裏は1点差に迫り、なおも2死二塁。完敗ムードがわずか2イニングで一打同点の場面まで持って行った。

 西谷監督は「門馬監督らしいさい配だなと思いました。相模も夏を前に大阪へ来て、何かイメージを持ちたい。ウチもいい相手と練習試合をさせてもらって、しっかり勉強させてもらった」と語る。大阪桐蔭も相手の虚をつくスクイズやエンドラン。そして徹底された守備陣形など“野球の質”の高さを感じさせた。

 「本当に少しの差が勝敗を分けた」と門馬監督が振り返ったように、2試合はともに1点差。最後の最後まで息が抜けないゲームだった。数年前から夏前の恒例行事となっている両校の練習試合。昨年の東海大相模は大阪桐蔭との一戦を経て、1点への執着心、勝負への徹底力を学んだことが優勝の要因と選手たちは語っていた。

 今年、高校野球101年目を迎え、間違いなく次代の先頭を走っていく両指揮官。もし甲子園で激突することがあれば-。98年に行われた80回大会の横浜-PL学園戦のように、後世に語り継がれるような名勝負になるかもしれない。(重松健三)

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