釜石“恩返し星”仮設住まいの部員も

 第88回選抜高校野球(3月20日開幕・甲子園)の出場校選考会が29日、大阪市内で行われ、出場32校が決定。東北地区の釜石(岩手)が選ばれ、1996年以来20年ぶり2度目の出場を決めた。東日本大震災で被害を受け、今も仮設住宅から通学する部員もいるが、甲子園では地元で応援してくれる人たちのためにも元気なプレーで勝利を目指す。

 24人の部員の3分の1以上が東日本大震災で自宅を失い、現在も仮設住宅から通う部員もいる釜石。そんな中、秋季県大会で準優勝。「鉄とラグビーのまち」に甲子園出場の明るい話題が届いた。

 出場の知らせを部員らに伝えた互野恭治校長は「彼らは震災の時、小学5、6年生。見事な避難で知られている『釜石の奇跡』の子どもたちなんですよ」と目を細める。佐々木偉彦(たけひこ)監督(31)は「震災から5年たったが、復興は思うように進んでいない。自分たちが出場することで、みなさんにもう一度被災地を見てほしいという思いもある」と話した。

 エース右腕岩間大(2年)の母成子さん(当時44)は、津波に流されて今も行方不明だ。小さいころから必ず応援に来てくれた母。「今日の発表をずっと楽しみに待っていた。きっとお母さんも同じ。だから今朝は(母の)写真に行ってくるよとあいさつしました」。野球を続けてこられたのは母のおかげといい、「甲子園に出るだけじゃなくて、被災地の人に元気を与えていきたい。21世紀枠の過去最高はベスト4と聞いているので、それを乗り越えたい」と抱負を語った。

 仮設住宅から通う菊池智哉主将(2年)も「憧れの舞台というだけでなく、釜石の方々に恩返しができるプレーがしたい」と前を向いた。

関連ニュース

編集者のオススメ記事

野球最新ニュース

もっとみる

    主要ニュース

    ランキング(高校野球)

    話題の写真ランキング

    写真

    デイリーおすすめアイテム

    リアルタイムランキング

    注目トピックス