池田27年ぶりセンバツ!蔦さんお待たせ

 第86回選抜高校野球大会(3月21日から12日間、甲子園)の出場校選考委員会が24日、大阪市内で行われ、出場32校が決定した。春夏合わせて3度の全国制覇を誇る池田(徳島)は1992年夏以来、22年ぶりの甲子園出場が決まった。春は87年以来、27年ぶり8度目。2001年4月に他界した蔦文也元監督の教えを受け継ぐチームは、長い低迷を乗り越え復活を果たした。

 山あいの町に、あの頃の興奮がよみがえった。「攻めダルマ」の精神が息づくグラウンドに、池田ナインの笑顔がはじけた。22年ぶりの甲子園。“やまびこ打線”が聖地に帰ってくる。

 「長かった。『辛抱してよかったのお』と蔦先生は言ってくれると思う」。79年夏準優勝時の主将だった岡田康志監督(52)はうっすらと涙を浮かべた。

 吉報をたずさえ、指揮官は恩師の自宅を訪れた。待っていたのは蔦元監督の妻・キミ子さん(90)だ。

 だれより池田復活を願っていた。長い低迷の中にあった08年。キミ子さんは「一人でも甲子園に行ける生徒が出れば」と、地元・三好市に1000万円を寄付。それを運営資金として、毎年夏に周辺の中学校16チームが集う野球大会「蔦文也杯」がスタートした。

 82、83年に夏春連覇した畠山準氏(現DeNA職員)、水野雄仁氏(現野球解説者)ら全盛期のOBが始球式を務めてきた。参加選手には「山あいの町の子どもたちに、一度でいいから大海(甲子園)を見せてやりたかったんじゃ」という蔦元監督の名言が印字された硬式球が贈られた。

 これまで6回開催された「蔦文也杯」には、現在の部員のほとんどが出場。エース右腕・名西宥人投手(2年)は「そのボールは今でも家に飾っている。成長させてくれた大会」と振り返った。

 “蔦イズム”を継承した新しい世代が、願い通り聖地切符を手にした。岡田監督から報告を受けたキミ子さんは「おめでとう。待っているうちに90になってしもた」と笑い、「甲子園に行ったらウチの先生のことを思い出して、1回は勝ってよ」とエールを送った。

 25日には、チーム全員で蔦元監督の墓前に選抜出場決定を報告する。「しっかりバットを振って優勝を目指したい」と三宅駿主将(2年)。恩返しの春。池田らしく、派手な金属音を甲子園に響かせる。

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