【ボート】桐生“乱戦”制して初代王者

 「ヤングダービー・G1」(28日、戸田)

 3艇がFに散る波乱のレースとなったが、地元エースの桐生順平(27)=埼玉・100期・A1=が1周2Mで黒井達矢を差して優勝。初代ヤングダービー覇者となり、同時にG1初制覇も地元で決めた。2着は黒井で、3着には長尾章平。人気を背負った峰竜太は土屋智則、渡辺雄一郎とともにF。返還額は約6億円となった。

 桐生の心境は複雑だった。3艇がフライングと波乱となったが、先頭を走っている時に、多くのファンが自分に手を振る姿を見て、うれしさを実感。ゴールで右手を軽く挙げたガッツポーズは、その地元ファンへの“お返し”だった。

 進入で「本番のエンジンが掛かるまで悩みました」というように決して、レース前から冷静ではなかった。吹っ切れたのは地元の後輩・佐藤翼のひと言。「ケツ(お尻)をつねるといいですよ」。直前にもつねってもらい「自分らしさを考えたら」と、S展示とは違う5コースを選択。F艇が戦線離脱した1周BSでは「(内の)黒井は見えなかった」と振り返ったが、2Mで「自分の切りしろができるように」と準備し、先に回った黒井を冷静に差し切った。

 初1着も初優出も地元の戸田。初優勝に至っては、今回と同じ戸田の4号艇だった。地元の大レースにかける思いは強く「戸田のタイトルを獲ることが目標で、今節はそれで硬くなってました」と言うほど。レース内容はどうであれ、「結果として、目標を達成できた。今回は自分のメンタル的に大きい」と喜んだ。

 これで賞金ランクも11位に跳ね上がり「まだSGも残ってるし、やるだけやって平和島へ行きたいです」とグランプリ(12月18~23日・平和島)へ思いをはせる。思わぬ形のG1初制覇だが、桐生の闘志に火をつけるには十分だった。

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