藤田菜七子から消えた笑顔…取り戻すために必要なことは?

13日、大井競馬9Rのパドックでミヤコヴィグラスにまたがる藤田菜七子=大井競馬場(撮影・開出牧)
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 ニューヒロインの笑顔が見たい。13日、初参戦の大井競馬9R、10Rに騎乗した藤田菜七子(18)。結果は14着と13着に終わったが、スタート前のパドックから、表情は硬かった。

 彼女は本来、明るい性格の持ち主だ。3月、プロ野球日本ハム対ソフトバンクのオープン戦(千葉・鎌ケ谷スタジアム)で始球式を務めた彼女を取材した時だった。室内練習場で投球練習を終えた彼女に「ダイナミックなフォームですね~」と声をかけると、初対面の私に、明るい笑顔を見せてくれた。本番の始球式でも、先発のマウンドに立つ日本ハム・大谷翔平を背に、ワンバウンドながらも堂々たるパフォーマンスを見せ、場内を沸かせた。JRAで16年ぶりに誕生した女性ジョッキーの、非凡なスター性を感じたものだ。

 この時の印象が鮮烈だったこともあり、久しぶりの取材で、彼女の笑顔やスター性に再び触れられることを、楽しみにしていた。

 3月にデビューした彼女は、すでに100レース以上騎乗し、通算4勝を挙げているが、重賞の壁は厚く、2度の落馬を経験し、今は競馬の難しさや恐さを感じているに違いない。

 対照的だったのが、名古屋の女性ジョッキー・木之前葵(23)だ。地方競馬で1953戦142勝の実績があり、パドックではファンに笑顔を振りまき、レースで下位に沈んでも、笑顔で騎乗した馬の首をなでて、ねぎらっていた。勝敗を超えて、初参戦の大井競馬を楽しんでいるかのような余裕を感じた。

 中央競馬を主戦場とする藤田もきっと、経験と勝利を積み重ねることによって、本来の明るさとスター性を取り戻すにちがいない。パドックに集まった大勢のファンの声援に、笑顔で応える“菜七子”が見たい。(写真と文=デイリースポーツ・開出牧)

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