【有馬記念】シップまくり届かず8着

 「有馬記念・G1」(27日、中山)

 夕闇の訪れとともに白い馬体が姿を現すと、中山競馬場に残っていた4万人のファンから割れんばかりの歓声が上がった。ファン投票2年連続1位で、レースも1番人気に推されたゴールドシップの引退式。結果8着に終わったとはいえ、ナイター照明に照らされた6冠馬に敗者の悲壮感は見られない。時折、激しくいなないてはスタンドを沸かせた。

 見せ場はつくった。発馬後は行き脚がつかず最後方になってしまったが、この馬にとっては定位置。13年ジャパンC15着以来の再タッグとなった内田博は「もう少し前に行こうと思ったんですけど」と振り返る。ペースが落ちるとみるや向正面から上昇。好位の外に進出したが、直線では既に余力がなかった。

 「結果的にうまくはいかなかったが、自分の中では悔いのない乗り方ができたと思う」。12年皐月賞Vは、自身が頸椎(けいつい)歯突起骨折の重傷から復帰して2カ月半後のこと。自信を取り戻させてくれた一戦が頭をよぎり、思わず涙がこぼれ落ちた。

 ラストランを見届けた須貝師は「伝説にはならなかったけどね」と納得の表情を浮かべる。JRAの賞金獲得額13億9776万7000円は歴代3位。素晴らしい記録を残す一方で、3連覇が懸かった今年の宝塚記念で世紀の大出遅れを犯すなど、競馬ファンに強烈な印象を刻み込んだ。「ゴールドシップはまだ終わっていないし、自分も長い調教師人生がある。またこういう愛される馬をつくれるように努力します」意気込みをのぞかせる。

 今後はしばし激闘の疲れを癒やし、今は亡き父ステイゴールドもけい養されていた北海道のビッグレッドファームへ移動。総額9億8000万円のシンジケートが組まれており、今後は種牡馬として血を継承する任務が待っている。ゴールドシップの物語は時を待たずして次章に突入。万雷の拍手を背に、高々と帆を掲げて出航する。

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