【桜花賞】デムーロG1初兄弟ワンツー

 「桜花賞・G1」(7日、阪神)

 7番人気の関東馬アユサンが、中団待機から直線ではじけるように抜け出して快勝。兄ミルコとのたたき合いを制したクリスチャン・デムーロにとっては生涯初のG1制覇となった。父ディープインパクトは初年度産駒から桜花賞3連覇。2着レッドオーヴァルとのワンツーフィニッシュを2年連続で決めた。3着に14番人気のプリンセスジャックが突っ込み、3連単は67万9300円。1番人気のクロフネサプライズは4着に敗れた。

 兄弟ジョッキーの息詰まるたたき合いは、弟のC・デムーロが完璧にリードした関東馬アユサンに軍配が上がった。

 騎乗予定だった丸山が前日の福島競馬で落馬負傷。その主戦から「状態は最高だし、直線まで追い出しを我慢すれば必ずはじける」と、手塚師を通じてアドバイスを受けた。その通り、中団馬群で末脚を温存。直線であいた外へ進路を取ると、一気に先頭へ躍り出た。

 残り100メートル。兄のM・デムーロが御すレッドオーヴァルが襲いかかる。弟の右ステッキ、兄の左ステッキ‐。いったんはとらえられたが、「後ろから来たら、またファイトしてくれた」。最後は差し返す形でG1史上初の兄弟ワンツーを決めた。

 「ビッグ・ジョブ!本当にすごい馬。うれしいの一言しかないよ」。昨年は騎乗予定のハナズゴールが直前に取り消し、今年も騎乗予定馬が除外。桜の舞台には縁がないと嘆いていた。4日には京都・南禅寺へ詣で、絵馬に母国イタリア語で「世界のG1をたくさん勝ちたい」と祈願したばかりだった。

 2年前、14歳上の兄から「世界トップクラスの日本で騎乗するのがお前にとっては一番」と日本行きを勧められた。「競馬に関して先生と慕う兄とのたたき合い。それを制したのがうれしい」。ジョッキー人生初のG1制覇は最高の形で訪れた。激闘を終えた後の検量室。「おめでとう!」と声をかけた兄との熱い抱擁で笑顔が全開した。

 この日のアユサンは馬体重12キロ減。「完璧な仕上げ。これまで一度も満足にケイコができなかったし、レースにも使えなかったからね」と手塚師は胸を張る。2週続けて丸山が追い切りにも騎乗した。「彼の心中を思うとつらいが、彼がいてくれたから勝てた部分も大きい」と思いやる。昨年はアイムユアーズで銅メダル。「桜花賞は一番獲りたいG1だった。夢がかなった」と11年朝日杯FS(アルフレード)に続く2度目の美酒に酔った。

 さあ、次はオークス(5月19日・東京)だ。「距離は大丈夫。東京もいい。まだ隠された部分が多いし、もうひと皮むけさせたい」と指揮官。10年のアパパネ以来、3年ぶりに関東から誕生した桜花賞馬が、さらなる進化を遂げて2冠目を狙う。

関連ニュース

編集者のオススメ記事

レース最新ニュース

もっとみる

    主要ニュース

    ランキング(レース)

    話題の写真ランキング

    写真

    リアルタイムランキング

    注目トピックス