「日本ダービー・Ｇ１」（２７日、東京）

　完璧に運べても勝てるとは限らない。それが競馬なのだと分かってはいても、どうにかならなかったのかという思いが胸に込み上げてくる。「悔し過ぎて、何とも言えない」。蛯名は報道陣に取り囲まれると、絞り出すように第一声を放った。鼻差だけ及ばず、フェノーメノは２着に敗れた。

　中団の外できれいに折り合い、直線では祭典２０度目の挑戦で初Ｖを目指す鞍上の左ムチ連打に応えて末脚を伸ばす。勢いは勝者を上回っていた。しかし死力を尽くしたゴール前、外へよれて行った分だけ届かなかった。

　「これ以上はない仕上げで、前を追い過ぎず、離され過ぎず、競馬も完璧だった。本当に、このレースだけに悔しい」と蛯名。また、戸田師も「最後の最後に、運が…」と天を仰いだ。今後は馬主サイドと協議し、菊花賞ではなく、得意の東京が舞台の天皇賞・秋（１０月２８日）からジャパンＣ（１１月２５日）を目指すプランもある。