加藤清史郎 同世代との競演は真剣勝負 芦田愛菜との“天才子役対決”「どう球を返していくのか、ラリーできた」

 俳優として新たなステージを歩む加藤清史郎(撮影・西岡正)
 阪神の「アレ」に期待を寄せポーズ加藤清史郎
 2011年2月、「デイリーこども編集長」として阪神の宜野座キャンプを訪れ、金本選手を取材する加藤清史郎
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 俳優の加藤清史郎(22)が、日本テレビ系ドラマ「最高の教師 1年後、私は生徒に■された」(土曜、後10・00)で新境地を開いている。子役時代からのイメージとはかけ離れた、ニヒルな笑顔でクラスを支配する相楽琉偉役。鵜久森叶(芦田愛菜)へのいじめを主導する姿は大きな話題を呼んだ。担任役の松岡茉優(28)や、同世代の奥平大兼(19)、當真あみ(16)、山時聡真(18)らとの演技は「全てが真剣勝負」。作品への思いを聞いた。

 挑戦的な役を背負い、同世代と演技でぶつかり合う日々に、加藤は充実感をにじませる。自身の心に問うように、胸中を明かした。

 「日々、相楽としても加藤清史郎としても刺激を受けてます、とても。今までの作品と少し違う。本当に今の環境と、この作品との出会いには感謝しています」

 本作は大ヒットした「3年A組-今から皆さんは、人質です-」の監督とプロデューサーが再集結したサスペンス学園ドラマ。卒業式で3年D組の生徒に殺された担任教師・九条里奈(松岡)が、1年の時間が巻き戻った2周目の人生で、殺害されるのを防ぐべく問題児クラスと向き合っていく。1周目では自死した叶(芦田)が、6話でその運命から逃れられず転落死。7話(2日に放送済み)から、叶の死をめぐる新章に突入する。

 1話ではスクールカーストの頂点に君臨し、恐怖でクラスを従えていた相楽。九条がクラス内の問題を解決していくにつれ、見て見ぬふりしていた生徒たちが徐々に彼への態度を変えていく。相楽の本音はまだ描かれず、謎に包まれている。

 「ただ彼はクラスが楽しい方向になるように常に考えて行動をしている。環境が変わっていく中で『楽しい』に執着している。相楽は正義だと思ってやっていると思います。そこに対して加藤清史郎として言及するのは、すごく難しくて。でも自分にとっての悪は、人にとっての正義だったりするので、何か答えのないようなものな気がします」

 クラス全員に細かな設定が用意されており、さまざまな悩みを吐露する生徒たちの迫真の演技は本作の見どころ。撮影現場で重視されているのは「生、リアル」だという。結末は出演者にも知らされておらず、各自が役として今を生きることに没頭している。

 新鮮さを大切にするために、本番前の打ち合わせも基本的に行わないという。「僕は現場に行くまでは考えて考え抜くけど、撮影では何も考えない。そこで感じたもの、自分が出して(相手に)返されたものを見て、自分がどう思うかだけを大事にするようにしている」と説明する。

 6話で“天才子役対決”と話題になった芦田との直接対決も、本番での一発勝負。「真剣勝負だとすごく感じました。あれは2人にとってポイントとなるシーン。生とかリアルを感じながら、お互いにどう球を返していくのかというラリーをできたのかなと思う」と自信を見せる。

 1歳から多数の作品に出演してきた加藤にとっても「今回の作品は特に考えさせられますね」という。

 「本当にしびれるシーンばかり。クラス全員のシーンになると(先生対生徒で)1対30とかになるんですけど、1対1が30個ある感じ。他の人が発した言葉を受け取った時、相楽と加藤清史郎で受け取り方が違ったり、同じ考えだったり、本当にいろいろなので。オンエアも何度も見ています。作品に直接携わってる人間が、ここまで見られる作品もなかなかない」

 20年に留学から帰国後、多くの作品に出演してきた加藤。今作との出会いもまた糧にして、大人の俳優へと飛躍していく。

 ◆加藤清史郎(かとう・せいしろう)2001年8月4日生まれ、神奈川県出身。1歳1カ月でデビュー。09年のNHK大河ドラマ「天地人」で主人公・直江兼続の幼少期を演じ、話題に。同年、トヨタ自動車のCMで「こども店長」として大ブレーク。高校3年間は英国に留学し、演劇を学んだ。今年はドラマ「弁護士ソドム」、「流血鬼」に出演。映画「ゆとりですがなにか インターナショナル」が10月13日に公開される。

 【生粋の阪神ファン】18年ぶりのアレが現実味を帯びてきた阪神に、虎党の加藤は「何が起きてるんですか!?ちゃんと僕が大ファンになったのが2008年頃なので、もしアレするんだとしたら初めて。だから実感もないし、信じられない気持ちもあります」と驚きを隠せない。

 「岡田(彰布)監督の素晴らしさももちろんあるんですけど、ここ数年間紡いできたものが、ようやく形になっている気がする。金本(知憲)アニキが超変革を行って若手がどんどん生まれて、そこを育てあげて全員野球の意識を植え付けた矢野(燿大)監督がいて。それがあっての今だなっていうのが、鳴尾浜を見ていたら分かる」と熱弁を振るった。

 推しは木浪聖也内野手(29)。「志も含めて好き。本当にすてきな人だなと思うし、ヒーローインタビューが大好きです」と笑顔を見せた。

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