星野源のANNも人気、ラジコのタイムフリー・シェア機能がラジオ改革

 ラジオ放送と同じ内容をネット上で聴けるサービス「radiko(ラジコ)」のタイムフリー聴取とシェアラジオサービスが10月11日に始まってから、約1カ月が過ぎた。すでに放送が終わってしまった番組でも1週間、振り返って聴けるという「聞き逃し聴取」が無料で利用できるという画期的なものだが、どのような効果をラジオ業界に与えているのだろうか。また、番組内で問題発言があった場合はどう対処されるのだろうか。11月10日に行われたニッポン放送の定例社長会見でのやりとりをもとにまとめた。

 例えば友達から「星野源がオールナイトニッポンで面白いこと言っていたよ」と言われたとする。でも、録音した音源がなければ実際に聞き直すのは難しく、次回から聴こうと思っても放送されている月曜深夜1時にラジオを聴くというのも、生活スタイルによっては難しい人もいる。そういう時にタイムフリー聴取が役に立つ。

 パソコンならばラジコの公式サイトへアクセス、スマホならばアプリをダウンロードし、それぞれ番組表をさかのぼって指定するだけで、過去の番組を放送当時とCMも含めて同じ内容で聴くことができる。

 ここで気になるのが、出演者に問題発言があった場合。ニッポン放送の森谷専務は「気がついた場合はすぐに削除できるように、私どもコンテンツプロバイダーの立場でできるようにしております」と明かした。例えばオールナイトニッポンであれば全国各地のラジオ局にネットされているが、タイムフリー聴取される音源については、ニッポン放送の権限で問題となった部分をカットすることが可能なのだとした。

 サービス開始以後の反応はおおむね良好で、特に深夜帯の若者向けの番組で多く利用されているという。土曜深夜1時から放送されている「オードリーのオールナイトニッポン」は約40%が、月曜深夜1時からの「星野源のオールナイトニッポン」は約半数のリスナーがタイムフリー聴取で番組を楽しんでいると会見で発表された。放送後にほかの番組で「あの番組が面白かった」などと発言されたことがきっかけで口コミ的に新規にリスナーが開拓されることもある。ラジオ番組は放送前に一生懸命告知するのが従来の宣伝方法だったが、今後については「事後のパブリシティーも大事」(森谷専務)と局が考え方を改めつつある。

 シェアラジオはツイッターなどのSNSで、「この番組、面白いよ」と投稿できる仕組み。送られた側でラジコのアプリをスマホに持っていない人は、その番組を聴くために新たにアプリをインストールする例が増えているという。さらに、自分がいる地域以外でシェアされた番組を聴くために有料サービスのエリアフリー(日本全国のラジオ番組をネットで聴取できる)の利用者も1万5000人増えたとし、ラジコのユーザー拡大に役立っているとニッポン放送は分析した。

 「タイムフリー聴取」「シェアラジオ」はまだ実証実験の段階で課題も多い。タイムフリー聴取では、一つの番組をクリックしたら3時間でその番組を聴けなくなってしまったり、スポーツ中継など権利関係の理由から、そもそもタイムフリー聴取ができない番組があったりと、完全にユーザー側に寄り添ったサービスにはなっていない。

 ただ、同局の岩崎社長は「ラジオ全体の聴取率というのは上がっていますから。昨年の12月から相当上がっています」とラジコ、ワイドFMといった従来のAM放送以外のチャンネルにより業界全体が盛り上がっていると語る。深夜放送も地方の番組も気軽に聴ける、ラジコがラジオの可能性を示している。

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