元キンコメ高橋被告 母の自殺を明かす…いじめで制服にコンプレックスも

 相次いで高校に侵入し、女子生徒の制服を盗んだとして、窃盗と建造物侵入の罪に問われた元お笑いコンビ「キングオブコメディ」の高橋健一被告(45)の第5回公判が2日、東京地裁で行われた。高橋被告は、犯罪に手を染めた理由として、過去に母親が自殺したことなどを告白した。

 過去の公判に比べ、長く伸び放題だった髪を短く整え、やや血色のよい表情で入廷した高橋被告。だが法廷では、抱え続けてきた衝撃的な“闇”が次々と語られた。弁護人による冒頭陳述では、高橋被告の情状案件として、「中学から高校時代のいじめ」「母親の自殺」「父親の借金」「仕事上の重圧」が列挙された。

 高橋被告の供述によると、母は難病を患って歩行が困難になり、94年に一度、自殺を試みて未遂に終わったが、97年に再度自殺を試み、死亡したという。自殺の原因としては、難病に加えて、高橋の父の放蕩を挙げ、「遺言書には、父と同じお墓にだけは入れないで欲しい、と書いてありました」と明かした。

 自身が犯行に及んだきっかけとして、母の死を挙げた高橋被告は「居なくなってしまったという喪失感、それ以上に、一緒に暮らしていて、自殺までして居なくなろうとした決意みたいなものを伝えられなかった驚き、そして支えになれなかった悔しさが…」と声を絞り出した。

 また、13年には父親の借金約2600万円を肩代わりしたことも説明。仕事では、俳優としてブレークしつつあった相方だった今野浩喜(37)との格差が広がり、「コンビ仕事でのギャラは折半だったが、恵んでもらっているようで申し訳なかった」と苦しんでいた心境を口にした。

 被害者の25人中、16人とは146万円あまりを支払って示談が成立。うち15人からは寛大な処置を求める上申書が提出された。被害者に対しては「全く何の落ち度もない多くの方々に、僕の一方的な気持ち悪い欲求でこのような被害、ご迷惑をおかけし、心からお詫びします」と謝罪。「こういう人の気持ちを二度と裏切らないよう、自分の罪と向き合っていきたい」と反省の弁を述べた。

 だが、裁判官からは、同様の嗜好の持ち主が必ずしも犯罪に手を染めるわけではないと指摘され、「なぜ罪を犯してしまったか、しっかり考えた方がいいんじゃないですか?」と説諭を受ける場面もあった。

 この日は情状証人として、高橋被告の実妹と、高校時代の同級生が出廷した。公判は結審し、検察側は犯行が悪質で再犯性が高いとして懲役3年を求刑。判決公判は9日に東京地裁で行われる。

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