蜷川さん惜しむ声…平「生き還って」

 演出家で文化勲章受章者の蜷川幸雄(にながわ・ゆきお)さんが12日午後1時25分、肺炎による多臓器不全のため死去した。蜷川さんの死を受けて、芸能界に衝撃が走った。ベテランから若手まで、多くの俳優が蜷川さんの厳しい指導で、舞台人としての地位を築き上げていっただけに、その悲しみは計り知れない。黄金コンビの平幹二朗(82)は「とうとうその刻が来てしまいました」とその死を惜しんだ。

 平が「貴方は私の演劇生活の中で最高の相棒でした。もっとも若者の予測できない力に夢を託す君には不満もあったようでしたが…」と振り返ったように、蜷川さんと平の黄金コンビは「王女メディア」のイタリア、ギリシャ公演などで、日本のみならず世界にその名をとどろかせた。平は「シャーロックに死なれたワトソンの様なやりきれない思いでいっぱいです。ドラマの如くシャーロックに生き還ってほしい!」と、悲しみをあらわにした。

 昨年、「ハムレット」に出演した平は「稽古初日、車椅子に座る弱々しい貴方の声にショックを受けながらも、稽古が進につれて大声でどなり散らす声にパワーが甦ってくるのを驚異の目で見ていたのに!」と回想。

 「王女メディア」「近松心中物語」「タンゴ・冬の終わりに」などの作品名を挙げ「数え切れない貴方との作品は私の宝物です。日本のいや世界の演劇界でトップに登りつめた貴方の名は永遠に消えることはありません。今は貴方の内にある怒りと情熱を安らげて下さい」と追悼した。

 1981年の「下谷万年町物語」で蜷川さんに見いだされた渡辺謙(56)は「僕にとっては最初の演出家です。永遠の演劇青年の姿しか記憶にありません。よく怒られましたが、その熱さにいつも魂を揺さぶられました。あの情熱を心に刻んで受け継ぎたい」と、その影響力を明かした。

 2003年に「ハムレット」で出会い、7作品に出演した小栗旬(33)は今秋、7年ぶりに主演舞台で組む予定だったことを明かし、「ついにまたご一緒できる、叱っていただけると心の底から楽しみにしておりました。ご冥福をお祈りいたします。でも、つらいです。『おい!小栗。何やってんだよ!』という声が聞こえないのは」と悲しんだ。

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