又吉 芥川賞で歓喜の“ピース”サイン

 第153回芥川、直木賞(日本文学振興会主催)の選考会が16日、都内で行われ、お笑いコンビ・ピースの又吉直樹(35)の「火花」が芥川賞を受賞した。羽田圭介氏(29)の「スクラップ・アンド・ビルド」との同時受賞。5月に発表された第28回三島由紀夫賞では、決選投票の末に1票差で惜敗していたが、“リベンジ”を果たして芥川賞作家となった。直木賞は東山彰良氏(46)の「流」に決まった。

 史上初の“芥川賞芸人”が誕生した。昼間に本業のお笑い仕事をこなした後、関係者と和食を食べながら、運命の瞬間を待った又吉。吉報を電話で伝えられると、シャンパンで乾杯して喜びに浸った。敬愛する昭和の大文豪・太宰治ですらかなわなかった『芥川賞作家』の肩書を、売り上げ69万部を記録している自身初の純文学作品で見事、手にした。

 受賞が決まると、黒のジャケット姿に、祝い酒のせいかちょっぴり顔を赤らませ、都内のホテルで会見。「すごいビックリしたんですけど、とにかくうれしいです」と第一声には笑いを交えず、率直な気持ちを表現した。

 地元大阪から上京し、初めて住んだ東京・三鷹のアパートの場所が、偶然にも太宰の自宅跡地だったという奇縁があった。太宰は第1回芥川賞にノミネートされながらも落選しており、夢の“太宰超え”を果たしたが、「勝手に『太宰好き』と言って申し訳ないので、言ったときには三鷹にお墓参りに行ってます」と謙虚な姿勢を見せた。

 太宰とともに小説好きとなるきっかけを与えてくれた、芥川龍之介への思いも吐露。「芥川はおそらく僕みたいな髪形嫌いやと思う。ベートーベンを『天才ぶってる』と書いてたのが印象深い」と会場を笑いに包んだ。

 「芸人を100でやって、それ以外で書くとやってきたので、その姿勢は崩さんようにしようと思ってます。書きたい気持ちはあります」。芸人と二足のわらじを履く平成の大文豪へ、執筆活動はまだ始まったばかりだ。

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