松方弘樹の夢 出前映画で日本を元気に

 俳優の松方弘樹(71)が、主演映画「柳生十兵衛 世直し旅」を引っさげて、全国での上映を続けている。映画館で公開せずに、地方自治体が持つホールなどで上映する形式だ。このほどデイリースポーツの独占インタビューに応じた松方は「映画をお年寄りに気軽に楽しんでもらって、現場にも活気を取り戻したい」と、この形での公開形態に夢を膨らませている。

 このところ、地方の映画館は大型商業施設などに併設されたシネコンが主流となっている。全体のスクリーン数は増えたが“地元の映画館”が減っていることを危惧していた松方は、徒歩でアクセスできる公会堂などでの公開を提案した。

 松方は「映画のデリバリーですよ。今は地方のお年寄りの楽しみが少なすぎる。あえて『50歳以下入場お断り』と銘打って(注・実際には50歳以下でも鑑賞できる)、ぼくの映画を支えてくれた世代の方々に楽しみを提供したいんです」と力説。日本では人口の42%が50歳以上という統計もあり、映画界でもシニア層は大きなターゲットだが、シネコンでは作品の選択肢が限られるため、映画を出前しようというのだ。

 これまでも「荷車の歌」(1959年)のように、巡回上映を主とした映画はあった。今、“出前”を可能にしたのは機材の進歩だ。以前はフィルム上映のため大きな機材とプロのスタッフが必要だったが、今はブルーレイでの上映が可能で、スタッフも数人で十分だという。

 半径5キロほど、1日最大でも15カ所ほどの会場で限定して集中上映するためテレビCMが必要なく、宣伝費も最小限に抑えられる。1000人規模の会場で、全国を順番に回って1000回上映すれば、100万人を動員(通常なら約13億円の興行収入)できる計算となる。

 経費を抑え、観客を掘り起こして狙うのは映画の現場の活性化だ。「昔は現場が華やかでしたが、最近は元気がなくてさみしいんですよ。こういうやり方もある、ということになれば、作品が増えて現場に活気が戻ってくる。50年飯を食わせてもらってる業界にお返しをしたいんです」と、松方の映画愛は尽きることがなかった。

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