猛暑の夏!足のむくみにご用心
観測史上最高気温も記録した過酷な今年の夏。熱中症の予防に水分や塩分の補給は欠かせない。だが、水分を摂りすぎるとむくんでしまうと心配している人も多いのではないだろうか。実はそれは早合点?むくみの主な原因は別のところにあるようだ。むくみの裏に潜む“病気”と対処方法について、お茶の水血管外科クリニック院長の広川雅之医師に話を聞いた。
足のむくみの要因の一つは重力と静脈。長時間立ち続けたり、座っていると、足に流れた血液を押し上げるふくらはぎの筋肉が作用しなくなり、血液が足にたまりやすくなる。するとたまった血液が静脈の壁を圧迫、血管の細胞のすき間が開き、そこから血液中の水分がにじみでてむくみにつながっていく。
たかがむくみ、と軽く見てはいけない。このむくみが常態化している人は「慢性静脈不全」と呼ばれる静脈の病気である可能性が。この病気は一般人口の40~50%もの人に可能性があるもので、誰がかかっていてもおかしくない。広川医師は「その他にも、ふくらはぎの重だるさや夜間のこむら返りなどの症状があります。その症状がひどくなると静脈瘤(りゅう)ができ、皮膚が変色したり、ひどいと皮膚潰瘍(かいよう)になることも。あなどれない病気です」と説明する。
むくみ対策としては、運動やマッサージ、加圧ストッキングの使用などが挙げられるが、最近ではさまざまな対策商品が登場。かかとのない短い「あしなか草履」や、振動することで心地よく足が刺激される「ぶるぶる足枕」などのグッズに加え、赤ブドウの葉を原料とした足のむくみを改善する内服薬「アンチスタックス」なども発売された。
ヨーロッパでは、昔から“ワイン農家の人たちは足にむくみがない”と言われ、その後の研究で赤ブドウの葉は血管の疾患に効果があると認められている。この「アンチスタックス」は、ヨーロッパでは以前から広く認知されてきた薬で、「日経トレンディ」の2013下半期ヒット予測商品にも選ばれた。
広川医師は「日本で初めて血管に作用し、根本から治療する薬が出たので、それを利用するのも一つの方法」と話す。何をやってもむくみが取れない…という人は一度病気を疑ってみてもいいだろう。
