子パンダ、生後6日後で天国へ
東京・上野動物園は11日、ジャイアントパンダのシンシン(7歳)が5日に産んだ雄の赤ちゃんが同日朝に死んだと発表した。死因は母乳が気管支に入ったことによる肺炎。上野動物園としては24年ぶり、4例目のパンダ誕生で、自然交配では初めてだった。赤ちゃんパンダの誕生で盛り上がっていた列島には悲しみが広がった。野田佳彦首相ら政府要人、中国外務省も「残念」と述べたほか、地元・上野の人々や、子パンダの公開を楽しみにしていた子供たちも肩を落とした。
誕生から6日、赤ちゃんパンダとの別れは突然やってきた。
上野動物園によると、11日午前6時45分ごろに赤ちゃんの鳴き声を確認。午前7時半ごろ、赤ちゃんがシンシンのおなかの上であおむけになりぐったりしているのに気づき、飼育員が取り上げた。心肺停止状態だったため保育器に入れ、獣医師が蘇生措置を試みたが、同8時半に死んだのを確認した。
解剖の結果、死因は飲んだ母乳が気管支に入ったことによる肺炎と判明。パンダの赤ちゃんは1週間以内に病気などで死ぬ確率も高く、特に初産の場合は無事に育てるのが難しい。赤ちゃんは7日未明に保育器に移されたが、段階的にシンシンの元に戻し、10日は終日一緒に過ごしていた。
土居利光園長は「非常に残念。今回は職員たちが徹夜で頑張ってくれた。彼らの顔を思い浮かべると…」と涙。
上野動物園には悲報を知らせる張り紙が掲示された。花を持参した来園者もおり、つくば市から家族4人で来た吉田桜実(ちえみ)ちゃん(3)はパンダ舎の前で「何で死んじゃったの」と悲しそうに話した。パンダ誕生に沸いた「アメ横」など地元も落胆ムードに覆われた。
野田佳彦首相は「とても残念だ。楽しみにしていたのに」と話したほか、中国外務省の劉為民報道局参事官も「赤ちゃんの成長を楽しみにしていた多くの日本人も心を痛めていることと思う」と述べるなど悲しみが広がった。
