耳を疑った金本、球審の「なに偉そうに言うてんねや」発言にブチ切れ!

 【2012年5月29日付デイリースポーツ紙面より】

 「交流戦、阪神0-3西武」(28日、甲子園)

 ゲームセットの瞬間、阪神・金本知憲外野手(44)が激怒した。低いと見極めた球をストライクと取られて見逃し三振。思わず判定に抗議した際の、飯塚球審の態度、言葉にキレた。当然、判定は覆らず、今季8度目の完封負け。新井貴浩内野手(35)が2度の好機に凡退したことが響いた。後味の悪い敗戦。連勝は3で止まった。

 自信を覆されたジャッジ。四球が一転、最終打者の憂き目。天と地を分けた1球。鉄人の顔色が変わった。異を唱えずにはいられなかった。だが次の瞬間、看過できないフレーズが鼓膜を揺さぶった。金本の怒りが爆発した。

 代打で登場した九回、2死一塁。フルカウントからの8球目。牧田が投じた内角直球。低い‐。見極めた目を信じ、金本はバットを動かす手を休めた。ストライク‐。あ然ぼう然。飯塚球審に詰め寄った。

 金本「低いでしょ」

 飯塚球審「なに偉そうに言うてんねや」

 耳を疑った。体中の血液が全速力で駆け巡った。もう冷静ではいられなかった。返ってきたのは、低いかどうかの答えではなく、判定に異議を唱えられた球審の激高度合いを物語る言葉。顔を真っ赤に染め、猛然と食らいついた。判定が変わることはないと分かっていても、発言内容には我慢がならなかった。

 和田監督、関川コーチがベンチを出た。他の審判も当事者の間に入った。時間にして1分弱。最後は引き離されるような形で事態は収束となったが、当然、金本の怒りが収まることはなかった。

 5月9日。新潟市内の飲食店で、金本はデイリースポーツ評論家・西山秀二氏のインタビューに応じ、ストライクゾーンについて熱く語った。「去年から異常。ベースよりボール2つ外を打つ練習はしてない。どんな野球選手もしてないよ」。広さを増すゾーンへの疑念に加え、裁く人間が用いた言葉。忍耐の限界を超えた。

 「それくらい気持ちが入っとるということ。1打席でいってるからね」。敗北にうつむかず、すぐさま視線を前へと向かわせた金本の行動。猛抗議に和田監督は熱い鼓動を感じた。

 1点が遠かった。四回、1死三塁で新井が二ゴロ。六回、2死三塁の局面では、前打者のブラゼルが敬遠された。8球粘ったが右飛。渇望した先制点が奪えず、直後に3点を奪われた。新井への期待は大きい。ほかの誰よりも大きいため息がその証拠だ。

 今季8度目の完封負け。勝率は再び5割を切った。今こそ、熱くなれ‐。金本の熱さ。1球にかけた熱さ。全員が目にした光景。決して忘れない。次なる戦いへの糧、武器とする。

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