風邪から復帰の稀勢の里、嘉風に9番全勝も厳しい声 師匠「もう少しやることある」
「大相撲夏場所」(13日初日、両国国技館)
左大胸筋負傷などで6場所連続休場から再起を目指す横綱稀勢の里(31)=田子ノ浦=が7日、都内の尾車部屋で行われた場所前恒例の二所ノ関一門の連合稽古に参加し、幕内嘉風(尾車)と9番取り、全勝した。
前日6日は風邪のため、稽古を休養。5日も出稽古予定を回避し、基礎運動で調整するなど、初日まで1週間の時期に、2日間、土俵にも上がっていなかった。ペースダウンは否めないが、3日ぶりに相撲を取り、何とか復調気配を見せた。
立ち合いも力強く、圧力をかけて何度も寄り切った。左を封じられても慌てない。右から抱えてスピードのある実力者に何もさせなかった。左のハズ押しから相手を吹っ飛ばす場面もあった。
3日、横綱審議委員会の稽古総見で3勝5敗と精彩を欠き、4日は春日野部屋に出稽古し、関脇栃ノ心(春日野)に2勝9敗。周囲から状態の悪さを指摘され、本人もショックは隠せなかった。
ドン底からは光が少しは見えた。前日、1日完全休養したことで「ケガの功名じゃないけどしっかり休めて良かった」と納得顔。「嘉風は互いに力を出せるように力いっぱい来るから。いい稽古になった。立ち合いも良かった」とうなずいた。
とはいえ、夏場所出場へ向け、不安は解消されたわけじゃない。休場を強く勧めていた元小結で相撲解説者の舞の海秀平氏は「体力で圧倒した。栃ノ心のように上背のあるタイプに同じようにではどうなのか。頭を付けられてもろ差しを許すのが気になる。嘉風は本場所になれば揺さぶりも、引き付けも、回り込みもある」と嘉風の動きが悪すぎたことを示唆した。
稽古総見で酷評していた元横綱で解説者の北の富士勝昭氏は「何とも言えない。もう少し番数を増やした方が様子が分かる。出るつもりあるのかなあ」と首をかしげた。
一門の親方衆も厳しい声が上がる。尾車親方(元大関琴風)は「強かったんだから勝ち方を思い出せばいい。もう少し日にちがあったら良かった。どっかで腹を決めないと。悔いが残らないように」と、楽観はなかった。
芝田山親方(元横綱大乃国)は「調子が良くない。番数も少ない。(連合稽古は)関取10人以上いるんだから。(いろんな相手と)稽古しないと。足の出方、まわしの取り方、やらないと」と苦言。師匠の田子ノ浦親方(元幕内隆の鶴)も「できれば色んな人やった方がいい。自分の形になれば相撲を取れるけど、もう少しやることがある」と、稽古不足を指摘した。




