五輪マラソン代表新選考方式 完全一発選考阻んだ“大人の事情”

 日本陸連は18日、20年東京五輪のマラソン代表選考で、19年9月以降に開催する選考大会「グランドチャンピオン(GC)レース」で男女各2人を選出することを柱とした新方式を発表した。

 GCレース出場者は、今夏から19年春までの国内主要大会を“予選”とし、設定タイム、順位をクリアした選手となる。残る1枠は19年秋から20年春までの男女各3大会を「ファイナルチャレンジ」とし、設定記録を突破した記録最上位者を選出する。異なるレースの成績を比較した従来の方式から大きく転換し、基準を明確化したことで、透明化を図ったが、根強く押す声があった1つのレースでは“完全一発選考”は断念する形となった。

 予選の段階から詳細な設定タイム、順位を示し、一発選考で2人と、最速タイムで1人を選考する形となった。これまで物議を醸す要因だった選定者の主観は排除され、透明性とは格段に高まった。五輪の3年前に方針が提示されたことで、漏れた選手から不満が出ることもないと見られる。

 ただ、一般のファンからの声も根強かった1つのレースで3人を決める“完全一発選考”は見送られた。瀬古リーダーは「どうせなら一気に一本化という話も当然ありました」と認めた上で、「いわゆる大人の理由もある」と、言葉を濁した。GCレースで3人が決まった場合、その後の国内主要大会は“消化試合”となる。ここまで国内のマラソンを長年支えてきた選考会の主催者、スポンサーを納得させきれなかった模様だ。

 まだ火種は残る。タイムを競う「ファイナルチャレンジ」には男女各3大会(男子は福岡、東京、びわ湖、女子はさいたま、大阪)が指定されているが、タイムが出やすい男子の東京マラソン、女子の名古屋ウィメンズに有力選手が集中することは確実。GCレース誕生により、ただでさえ国内大会の役割は低下しており、さらなる不満が出ることは必至だ。

 尾県専務理事は「(ファイナルチャレンジは)これまで(3大会で)3枠を争っていたのが、1枠になる。(男女)6大会のうちいくつかは不満を持っておられる」とした上で、「我々は今年から20年までを1つのパックで考えている。ご理解願いたい。各大会の要求は大事だが、あるところで鉈を振り下ろさないといけない」と、言い切った。今後も陸連の強いリーダーシップが必要になりそうだ。

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