553日ぶり復帰で披露“進化の真央”
「フィギュアスケート・ジャパンオープン」(3日、さいたまスーパーアリーナ)
日本、北米、欧州によるフリー演技のチーム対抗戦が行われ、1年間の休養を経て、2季復帰戦となった浅田真央(25)=中京大=はトリプルアクセル(3回転半ジャンプ)を決めるなど女子1位となる141・70点をマーク。オープン大会のため非公認記録ながら、ソチ五輪での自己ベスト142・71点に迫る演技で、復活を印象付けた。大会は日本が総得点607・62点で2年ぶり7度目の優勝を飾った。
失敗もあった。でもそれは紛れもなく、誰もが待ち望んでいた浅田真央の演技だった。フィニッシュポーズを解いた後、ホッとした笑みを浮かべながら、総立ちの約1万6000人の観客に手を振った。得点は非公認記録ながら、ソチ五輪の“伝説のフリー”の自己ベストに迫る141・70点。「ただいまです」-。弾むような声で、高らかに“復活”を宣言した。
切れ味のあるジャンプはもちろん、目を引いたのは休養前よりさらに磨かれた表現面だ。氷から離れ、舞妓さん体験やさまざまなボランティア活動など、「私の人生にとって良かった」と話す1年間の休養で得た様々な人生経験が、演技にさらなる奥行きを与えた。
今季のフリーは日本人女性の悲恋を描いた「蝶々夫人」。自らオーダーしたラベンダー色の着物風の衣装に身を包み、優雅に舞った。冒頭のトリプルアクセルに成功すると、連続ジャンプでミスはあったものの、旋律豊かなオペラに乗り、大人の女性をしっとりと演じきった。
表現力を示す5項目の構成イレベルな8点台中盤から後半を並べた。「日本人として芯の強い女性を演じたいと思っていた。自分の滑りができたと思う」と、胸を張った。見守った佐藤信夫コーチはミスもあった内容に「まだまだかな」と厳しさを見せながら、「今までに比べて感情が出てくるようになった」と、表現者としての成長に目を細めた。
復帰を決断してからの5カ月間。指導の面で以前と変わったことがあるという。「彼女の方がというか、私の方がですね。彼女の自由に任せて、気になる部分だけ指摘するようにしました。今までのようにこうしなさい、ああしないとは言わずに。いや大人ですからね。いつまでも子供扱いはできない。25歳になったそうですし」と、名伯楽は笑う。氷上で演じる以外も、大人の顔になった。
国民的ヒロインのスケート人生の第2章は、順風満帆のスタートを切った。ただ、真央はいう。「自己採点は55点ぐらい。シーズン初戦としては今までにないぐらい、いい演技ができたけど、昨年の世界選手権のレベルが最低レベルと思っている。もっともっと上を目指せる」。目標とする大会も結果も今は決めていない。浅田真央だけが紡げる新たな物語を、氷上に刻み込んでいく。
