王者チャンも驚く宇野昌磨の滑り

 「フィギュアスケート・ジャパンオープン」(3日、さいたまスーパーアリーナ)

 この大会で復帰した浅田真央(25)=中京大=に次ぐ歓声を浴びたのが、男子で最高得点を獲得した宇野昌磨(17)=愛知・中京大中京高=だった。2人の世界王者経験者、ハビエル・フェルナンデス(スペイン)とパトリック・チャン(カナダ)を上回る185・48点をマーク。フリーの世界歴代5位に相当する会心の演技で、2度の4回転を成功させた内容は、チャンをも驚かせた。

 冒頭にきっちりと4回転トーループを決め、観衆を沸かせた。3回転半、3回転半-3回転トーループと次々とジャンプを決めていく。加点が入る演技後半で見せた4回転トーループ-2回転トーループも回り、8つあるジャンプすべてを成功させる圧巻の内容だった。

 「点数が出るまでは自分がこれだけの点数を取れると思わなかったです。点数もうれしかったですけど、海外での初戦が悪かった後に素晴らしい演技ができたことに達成感がありますし、ここで満足せずにこれからもっともっと頑張っていけたらいいかなという気持ちがあります」

 自分自身の演技に驚いたようなコメントが飛び出すのも無理はない。9月16日~20日の「USインターナショナルクラシック(チャレンジャーシリーズ)」ではSP(ショートプログラム)でつまずいた結果、5位で終えた。「あまりいい演技ができなかったので、そこから今までの練習がいい結果につながったんじゃないかなと思います」とわずか2週間で修正した。

 伊藤みどり、浅田真央を育てた山田満知子コーチの門下生。今年3月の世界ジュニアで初優勝を果たし、今季からシニアに本格参戦した。尊敬する選手に高橋大輔を挙げ、今季の目標に「グランプリファイナル出場」を掲げ、この日は世界レベルの滑りを披露した。そんな日本の新星に世界選手権3連覇(11年~13年)のパトリック・チャンは舌を巻く。

 「本当に素晴らしい演技で、いわば疲れ知らず。弱さもまったくない。後半になってもスピードが落ちてこない。非常に力強く、ジャンプに関しても一貫性があり、練習通りということらしいので、練習でもあのような形で滑れているのだと思う。日本というのは次々と若い選手がどんどん出てきて常にバックアップがある。本当に驚きです。素晴らしいことだと思いますが、これは先達として高橋大輔さんや羽生結弦君などがいてロールモデルの役割を果たしているので、優秀な若手が出てくるのだと思う」

 2度の4回転ジャンプにも「僕からしたらクレイジーだ。4回転は1回飛べれば十分。2回目はボーナスだと思う」と半ばあきれた表情を見せていた。チャンとすれば演技力、表現力で勝負するというプライドもあってのコメントだろうが、裏を返せば元世界王者を驚かせるほどの宇野の武器だとも言える。

 宇野は今季のグランプリシリーズには、今月22日開幕の「スケートアメリカ」(米国・ミルウォーキー)と11月13日開幕の「トロフィーエリックボンパール」(フランス・ボルドー)に出場を予定している。この日の演技を「すごく良かったんですけど、80点ぐらいかなと。残りの20点はジャンプ以外のエレメントでもっともっとこれから成長していかないといけないところがあるかな」と自己採点。グランプリシリーズへ「もっともっと上を目指していい演技ができるようにしたいと思います」と宣言した。

関連ニュース

編集者のオススメ記事

スポーツ最新ニュース

もっとみる

    主要ニュース

    ランキング(スポーツ)

    話題の写真ランキング

    写真

    リアルタイムランキング

    注目トピックス