元琴光喜、区切り断髪式「スッキリ」

 2010年7月に野球賭博に関与したとして相撲協会を解雇された元大関琴光喜の田宮啓司氏(38)が7日、都内のホテルで断髪式を行った。貴乃花親方(元横綱)をはじめ白鵬、日馬富士、鶴竜の3横綱、大関琴奨菊ら現役力士が出席、約350人が最後の大銀杏(おおいちょう)にハサミを入れた。志半ばでの現役引退から約4年半、復帰の願いはかなわず、ようやく区切りをつけた。

 ついにまげに別れを告げた。野球賭博問題に関与したとして、10年7月に相撲協会を解雇されたあとも、協会に対して大関としての地位確認を求める訴訟を起こすなど、復帰へ望みをかけてきた琴光喜。いつでもまげを結えるように髪も伸ばしたままだった。しかし、昨年2月の控訴審でも「解雇は正当」として敗訴。土俵へのカムバックはかなわず、この日を迎えた。

 断髪式には3横綱をはじめ10人以上の関取衆が出席。出身の日大関係者や漫画家のやくみつる氏、タレントのデヴィ夫人、放送作家の鈴木おさむ氏、元フィギュア選手の村主章枝さんら各界から著名人が姿を見せた。

 久しぶりに自身の大銀杏姿を見て「少し恥ずかしさもあった」というが、すでに気持ちの整理はついているということで表情は晴れやか。家族や現役力士がハサミを入れる時はグッとくる場面もあったが、最後は貴乃花親方が止めバサミでまげを切り落とした。

 整髪を終えた田宮氏は「スッキリした感じはあります。ずっと憧れていた貴乃花親方に止めバサミを入れていただいて、すごく誇りに思います」と語った。半ばでの引退にも「寂しさはこの何年間でだいぶ薄れていましたから」と、あえて角界への未練をのぞかせることはなかった。

 現在は実業家として名古屋市内で焼き肉店を2店舗経営。一昨年に従業員の雇用をめぐって入管難民法違反(不法就労助長)で逮捕されたこともあったが、順調に事業は拡大しているという。

 1日に両国国技館で行われた白鵬杯には長男・愛喜くんが参加した。「息子が相撲をやっているし、何らかの形で恩返しをしたい。本当に大相撲が好きなので」と、変わることのない土俵への愛情もうかがわせた。

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