坪井屈辱…日本一に輝いた翌日に戦力外通告 それでも翌年V貢献

 プロ野球・阪神などで活躍し、引退を表明していた坪井智哉さんが18日、神戸市内で引退会見を行った。坪井さんは2006年オフ、日本ハムで日本一に輝いた翌日に球団から戦力外通告を受ける屈辱を味わったが、再契約した上で07年シーズンも日本ハムでプレーしてリーグ優勝に貢献。同年9月30日付のデイリースポーツに優勝手記を寄せた。

 【2007年9月30日付デイリースポーツ】

 今、だれよりも家族に感謝の気持ちを伝えたい。去年、日本一の翌日に戦力外通告を受けてから2カ月間、本当に魂を取られたような感覚だった。「目の前が真っ暗」「路頭に迷う」ってこういうことなんだ、と…。

 毎日胸が締め付けられてた。毎朝起きたら「もしかしたら夢かな!?」って思った。対人恐怖症にもなった。練習以外は完全に引きこもった。でも再契約が決まると妻の晴代が「今は無理かもしれないけど、そのうち少しでも感謝の気持ちを持てるようになればいいね」と言ってくれた。

 それまで自分は単純に「絶対に見返してやる。見とけよ」という思いだけだったから。嫁さんにも同じ気持ちはあったはず。でもブレーキをかけてくれた。ああそうだな、と素直に思えた。再契約できていなかったら今、日本で野球はできていない。それはもう感謝すべきだと思えるようになっていた。

 開幕スタメンを伝えられたのは試合の何日か前。驚いたけどヒルマン監督の期待にこたえたかった。その開幕戦でたまたまヒットが出た。塁上で息子、洸之介の顔が目に浮かんだ。野球をやってきてそんなことは初めてだった。

 あの2カ月間、夫婦で「子供の前ではなるべく普通にしていられるように努力しようよ」と話してた。でも子供は敏感。何かを感じたようだった。夜中に突然、起きて泣きわめいたり…。それが尋常じゃなかった。それを見て自分が情けなくなり、涙が出た。開幕戦の3月24日は、息子の3歳の誕生日だった。

 今も成績が悪かったら真っ先に2軍に落とされる、という恐怖はある。でも今年は故障もなくずっと1軍にいさせてもらった。去年は優勝にまったく貢献できなくて、正直心から喜べなかった。今年は最高なチームメートと一体になれて本当に幸せだった。

 この1年でますます自分は丸くなったと思う。でもその一方で、ギラギラした感じがまた芽生えてきた。あと何年できるか分からないけど、今後の野球人生には間違いなくプラスだと思う。冷静さの中にあるギラギラ感を見てもらいたい。

 日本シリーズまで勝ち上がれたら相手は、やっぱり阪神がいい。阪神ファンにも特別な思いがある。今でも応援してくれるし、かつて応援してくれた恩もある。でも今は札幌のファンの大歓声が自分の活力。代打で出たときのスタンディングオベーション。ものすごくうれしい!体中の毛穴が全部開きそうになる。絶対に日本一になってファンに恩返ししたいな。(日本ハム外野手)

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