広島・田中 「準備をすることだけ。もう、それしかない」再昇格へ2軍で奮闘 練習も試合も若手の模範「全てにいい影響を」
広島・田中広輔内野手(36)が1軍再昇格に向けてアピールを続けている。12年目の今季は開幕2軍スタート。ドラフト1位・佐々木の負傷離脱に伴い6月7日に1軍昇格するも、7月14日に出場選手登録を抹消された。2軍ではここまで58試合に出場して打率・325、2本塁打、19打点の好成績。2軍生活が続く中、ベテランが現在の心境を明かした。
ひたむきに汗を流す姿があった。時折、活気あふれる声も響く。2軍の試合前練習。田中は若手に交じって、念入りに打撃、守備、走塁練習をこなしていた。7月14日に出場選手登録を抹消され、約2カ月が経過。現在のテーマを問われると「ケガせず(1軍に)いつ呼ばれてもいいような準備をすることだけ。もう、それしかないです」と口元を引き締めた。
9月14日のウエスタン・オリックス戦(富田林BS)は「3番・遊撃」でフル出場。三回1死では初球を捉え、右越えに2号ソロを放った。初回2死では1球もバットを振らず四球を選んでおり、その試合での“ファーストスイング”で最高の結果につなげた。
「代打とか、途中から行くときにそういうのは大事になってくる。何でもかんでもというわけではないけど、打ちに行こうと思って仕留められたので良かったかなと思う」。1軍舞台を想定しながら響かせた快音に、納得顔を見せた。
続く五回先頭ではカウント2-2から外角変化球を左前打。六回2死三塁では初球をはじき返し、右翼線への適時二塁打とした。追い込まれると逆方向に運び、浅いカウントでは力強く引っ張って3安打。場面や状況に応じた打撃で、存在感を際立たせた。
今季は開幕を2軍で迎え、ドラフト1位・佐々木の負傷離脱に伴って6月7日に1軍初昇格。スタメン出場した同13日・日本ハム戦(エスコン)では猛打賞の活躍を示した。しかし、以降は結果が伴わず、14試合で30打数5安打と快音からは遠ざかった。
不動のリードオフマンとしてチームを支えてきた36歳。2軍での日々が続く中で、大切にしていることがある。「若い子がいるので、試合の内容も練習の仕方も、全てにおいて、いい影響を与えられるように。発言にしても、そういったことを意識しながらやっています」と明かした。
福地2軍ヘッド兼打撃・走塁コーチも「素晴らしいですね。若手のお手本以上のことをやってくれている。言葉でも示してくれますが、練習から全ての面でやってくれている姿というのは、さすがです」と称賛した。周囲を見渡し、若手の模範となっている田中。CS進出の可能性を残すチームのピースとなるため、抜かりなく戦闘態勢を整えていく。
◆田中広輔(たなか・こうすけ)1989年7月3日生まれ、36歳。神奈川県出身。171センチ、85キロ。右投げ左打ち。内野手。東海大相模から東海大、JR東日本を経て2013年度ドラフト3位で広島入団。14年3月29日・中日戦(ナゴヤドーム)でプロ初出場。17年には盗塁王、最高出塁率、ベストナインを獲得。翌18年にはゴールデングラブ賞も受賞。1軍通算は1202試合出場で打率.256、69本塁打、348打点(16日現在)。





