「広島１－６阪神」（８日、マツダスタジアム）

　阪神が広島の“挑戦”を軽くはね返した。佐藤輝、前川、大山の適時打など先制、中押し、ダメ押しの理想的な展開で快勝。森下の好走塁も目を引いた。デイリースポーツ評論家の岡義朗氏は「阪神の足を使った早仕掛けに広島が戸惑っていた」と語る一方で、今後の対策の必要性にも言及した。

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　阪神は初回一死二、三塁から佐藤輝が先制打を放ったが、その前に注目したいシーンがあった。一死一塁から森下が四球を選んだ直後、森下自身に展開を変える動きがあったからだ。

　四球のボールが暴投になったのを見ると、スタートよく二塁まで到達した。二、三塁と一、三塁では内外野の守備隊形が違ってくるからね。

　結果的に床田から２点を奪うことになったが、一気に二塁まで走ったあのプレーは大きかった。

　森下の足を使ったプレーで、もうひとつ感心したのは五回の追加点に絡んだところだ。

　無死一、二塁から佐藤輝が左翼へ大きな飛球を放ち、二塁走者中野のタッチアップで一、三塁となったあと。大山の打席で一塁走者の森下が二盗に成功した。

　しかも初球だった。ここでも同じことが言えるのだが、一、三塁と二、三塁では守り方が違うということだ。

　先発した才木は球数がかさみ、責任回数の五回を投げきるのが精一杯だった。小園らに打席で粘られたということも理由のひとつだろうが、これが夏場の怖いところ。もうアップアップ状態だった。

　しかし、マスクをかぶった梅野がうまくリードした。高低を中心にした攻め方からカーブを使った緩急も織り交ぜ、打者の目先を変えていた。

　ベンチも先手先手でゲームを動かしていこうとしているように思えた。３割を打っている中野にエンドランのサインを出したり、才木にスクイズをさせたのも、そういう意思の表れだろう。

　結果、ワンサイドに近いゲーム展開に持ち込んだ。

　かたや広島は足攻めに戸惑いを隠せず、防戦一方だった。坂倉の肩が狙われたという見方もできるだろうし、投手のモーションも関係しているかもしれない。

　特に早い仕掛けというのは明確な根拠がないとできないものだ。初回、アウトにこそなったが、二盗を試みた佐藤輝も初球だった。意図的に足でかき回しにいったのは明らか。

　森下や佐藤輝は“足がある”と言っても、近本や中野クラスではない。注目すべきは、それでも走らせているところだ。

　この試合を見る限り、今後なんらかの対策は必要だし、当然、広島は防衛策を講じるはず。足のある阪神はそれをも上回る仕掛けをするのか。興味深いね。