広島・中村奨1406日ぶり1号!完璧戸郷撃ち 5戦連続マルチ「『コレ』というのが少しずつ。1試合1試合結果を残すだけ」
「広島5-4巨人」(13日、マツダスタジアム)
キテルね!広島・中村奨成外野手(25)が1406日ぶりの本塁打となる今季1号ソロを放った。1点リードの二回2死で戸郷のフォークを完璧に捉え、左中間席へ。六回にも右前打を放ち、5試合連続複数安打と好調をキープした。若き切り込み隊長がついに覚醒の時を迎えようとしている中、延長十二回、負傷から復帰したエレフリス・モンテロ内野手(26)の劇的なサヨナラ打で2位に浮上した。
覚醒への号砲だ。打球が左中間席に着弾し、中村奨が4年ぶりにダイヤモンドを回る。鯉党が待ちわびた瞬間が、ようやく訪れた。ベンチ前で仲間からの手荒い祝福を受け、一瞬表情を緩める。本拠地にかけた1406日ぶりの放物線。「久しぶりの一発がマツダで出たのは良かったです」と胸を張った。
1点リードの二回2死で迎えた第2打席だ。カウント1-1から戸郷の甘く入った内角寄りのフォークを完璧に捉え、左中間席へズドン。初回の攻撃で先制し、なおも1死満塁と右腕を攻め立てるも、追加点を奪えていなかったことに触れ、「初回、1点しか取れなかったのでいい追加点になりました」と試合の主導権を握る貴重な一発だった。
1軍での本塁打は21年7月7日・DeNA戦(マツダ)で放った自身初の本拠地弾以来、4年ぶり。その記念すべきアーチから、はや4年-。選手としての立場も背番号も変わった。しかし、この日、マツダスタジアムを赤く染める鯉党から中村奨へ注がれる大歓声だけは、当時と変わらぬままだった。
六回1死からは船迫から右前打を放ち、5試合連続複数安打を記録。「1番(打者)はチームにどれだけ流れをもってこられるか」と話していた通り、5月はこの日の試合前まで打率・385をマークしており、切り込み隊長として申し分ない活躍が続いている。
10日・DeNA戦(横浜)後に「いいね、奨成キテルね」と耳に残るワードで賛辞を贈っていた新井監督も笑みが弾けた。白球がスタンドに飛び込むのを確認すると、身を乗り出しながら思わずにっこり。この日から右足首のけがで離脱していた秋山が1軍に復帰している中、起用に応えた背番号96の頭をたたいて祝福した。
地元のスターとして、ドラフト1位で入団し、今季が8年目。いよいよ大輪が花開こうとしている。「自分の中で『コレ』というのが少しずつ出てきたので、そのあたりが余裕につながっているかなと思う。ただ、スタメンが確約されているわけではない。1試合1試合結果を残すだけです」と中村奨。覚醒の気配漂う若鯉が、2位に浮上した赤ヘル打線をけん引する。





