「ＪＥＲＡ　ＣＳセ・ファーストＳ・第２戦、広島東洋カープ４－２横浜ＤｅＮＡベイスターズ」（１５日、マツダスタジアム）

　広島・田中は打った瞬間に右拳を挙げてガッツポーズした。「うれしさが我慢できなかった。普段は我慢する方なんですけど」と照れ笑いを浮かべた。

　同点の八回だ。菊池の左前打と、続く野間の遊撃内野安打で一、二塁。さらに先制弾を放っていた西川の、この試合２度目の犠打に野選も絡み無死満塁となったところで、矢野の代打で登場。上茶谷の初球、甘くきた１３９キロをきっちり捉えて右前適時打にした。

　「初球を振ると決めて入った。シーズン中、代打の経験もさせてもらっていた。それが“ココイチ”でいい方向に転がってくれた」

　これぞ“ＣＳの鬼”だ。２０１６年のＤｅＮＡとのファイナルＳでは１２打数１０安打４打点、打率・８３３という驚異的な数字を残しＭＶＰを獲得した。通算でも４２打数１９安打、７打点、打率・４５２。ＣＳで活躍する秘けつを聞けば「負ければ終わり。悔いが残らないように思い切ってプレーするのは得意なので」と話す。腹をくくって勝負に出る。思い切りの良さが信条の田中にとって、短期決戦こそが力を発揮できる舞台だ。

　今季は１１１試合出場と３年ぶりに１００試合の大台に乗った。“復活”の声があちこちから聞こえるが「元々そこまでのものを残してるわけじゃない。毎年、日々成長だと思って、今後の野球人生に生かせればいいと思ってやっています」とおごるところはない。

　次は１８日から甲子園で阪神とのファイナルＳが待つ。お立ち台では「必ず戻ってきます」と突破を約束。満員のスタンドも大音量の拍手で送り出した。

　◆田中はＣＳ打率・４５２　田中は八回のタイムリーでＣＳ通算４２打数１９安打７打点となり打率・４５２に。ベテランが大舞台での強さを見せている。また田中のＣＳ代打成績は【１】２０１４年ファーストＳ第１戦・阪神戦で四球【２】２３年ファーストＳ第１戦・ＤｅＮＡ戦で捕ゴロに続いて、この日が３打席目だった。