広島・中村奨成 満塁一掃プロ初3打点 今季初スタメンマスクで躍動「声援が力に」
「広島6-3日本ハム」(2日、マツダスタジアム)
広島が日本ハムに逆転勝ち。交流戦では2018年以来、4年ぶりのカード勝ち越しを決めた。主役は中村奨成捕手(22)だ。五回、3点を奪ってなおも2死満塁から、右越えの走者一掃となる適時二塁打を放ち、プロ入り初の1試合3打点を記録した。この日は今季初のスタメンマスクも務め、攻守にわたって勝利を支えた。
一直線に伸びた打球が右翼フェンス手前で弾むと、球場全体が歓喜に包まれた。全力で一塁を蹴った中村奨は二塁に到達すると、ベンチに向かってガッツポーズ。寄せられた期待は裏切らない。みんながこの一打を待っていた。プロ入り初の1試合3打点。まばゆい輝きを放ち、初のお立ち台で「最高です!」と心の底から笑った。
傾いた流れを一気に引き寄せた。1点を追った五回、押し出しの四死球で3点を奪い、なおも2死満塁の好機で打席が巡った。「満塁だったので、何とか自分がかえすという思いで打席に入りました」と鈴木の2球目の直球を迷わず振り抜いた。
走者一掃となる右越えの適時二塁打。ビッグイニングの“仕上げ”となる快音に、拍手と歓声が一斉に注がれた。前の打席では右飛に倒れており「また(右翼手に)捕られるのかなと思いながら走っていた」と明かしたが「皆さんの大きな声援は聞こえていた。すごく力になりましました」と感謝した。
守備では今季初の先発マスクで先発・九里を懸命にリード。「本職なので(捕手の)練習もしっかりしていたし、特に気持ちの変化はなかった」と平常心で臨んだ。三回に相手の重盗で先制点を与えたが、五回2死一塁では今川の二盗をストライク送球で阻んだ。チームの捕手陣が今季、盗塁阻止に苦戦する中、正確なスローイングを披露した。
危機感と隣り合わせの中、戦った。昨年1月、高校の先輩にあたる巨人・小林との自主トレに初参加。心技体で実りある収穫を持ち帰った一方、何げなくつぶやいた。「あと何年(野球を)できるのかな」。苦笑いを浮かべつつも、不安は拭い去れなかった。「いつまでもゆっくりしていられない」と自らを奮い立たせ、小林からの「腐ってはいけない」という言葉も支えにしてきた。
6試合ぶりの複数得点に貢献した若鯉に、佐々岡監督は「しっかり刺してくれたし打撃でも」と褒め上げた。「あしたも結果を残せるように。一番は試合に出たい」と中村奨。仲間とファンのために、もっともっと輝く。



