広島育成4位・坂田 ナックルボールで夢切り開く 目標はウエークフィールド
広島は10日、広島市内のホテルで育成を含む新人11選手の入団発表会見を行った。
会見の最後を、育成ドラフト4位・坂田怜投手(22)=中部学院大=が力強い言葉で締めくくった。「ナックルボールの夢をかなえていけるように頑張ります」。日本球界では珍しい“魔球”の使い手。晴れ舞台で大きな目標を語った。
運命を変えてくれた球種だ。身長188センチ、90キロと恵まれた体格。大学2年までは最速143キロの本格派右腕だった。転機は昨年3月下旬。突如、胸の痛みが襲い、心臓手術を余儀なくされた。
術後、野球を続けることに支障はなかった。だが開胸手術の影響で体をひねる動きに制限が掛かり、球速は130キロ台まで低下した。
「ナックルのおかげでこの場に立てています」
母校・中部学院大の原前監督から勧められ、習得を目指して毎日100球以上を投げ込んだ。動画サイトで球の握りや投げ方の研究も惜しまなかった。長身から投げ込む、不規則に揺れながら落ちる球。独特な軌道がスカウトの目にとまった。
日本では、ナックルを主体とした投球で成功を収めた投手は少ない。だからこそ、やりがいも感じている。「ウェイクフィールドを目指して頑張ります」。MLB通算200勝を挙げた伝説の“魔球使い”が目標だ。
「広島全体で盛り上がっているイメージがある。そこに加われる選手になりたい」。目下、支配下選手登録を勝ち取ることが次へのステップになる。
150キロの剛速球はない。それでも唯一無二の球がある。ナックルボーラーの希望となるための戦いが始まる。
◆ウェイクフィールドとは 1992年にパイレーツでメジャーデビュー。95年のレッドソックス移籍後はナックルボールを武器に、2桁勝利を11回マーク。2011年には45歳で通算200勝を達成した。通算成績は627試合200勝180敗22セーブ、防御率4・41。なお、日本球界でのナックルボールの使い手としては、ロッテ、中日、巨人で通算595試合に登板した前田幸長がいる。





