栗林と玉村 林と小園 若手台頭のカープ覇権奪回へ求められること【検証連載3】

 広島は63勝68敗12分けの4位でシーズンを終えた。借金は5を数え、3年連続のBクラス。終わってみればチーム打率・264と1265安打は、いずれもリーグトップだったが、序盤は外国人野手が機能せず苦しい戦いを強いられた。佐々岡カープ2年目の課題と収穫を検証する全3回の連載。最終回は来季再上昇のカギを探る。

  ◇  ◇

 佐々岡体制2年目の収穫は多くの若手が1軍舞台で活躍したことだ。投手では15年のDeNA・山崎に並ぶ新人最多37セーブを記録し、防御率0・86の好成績を収めた栗林を筆頭に続々と1軍デビューを果たした。

 先発陣では玉村が成長を見せた。4月29日のDeNA戦でプロ初登板を飾ると6月18日の同カードでうれしいプロ初勝利。7月2日の阪神戦以来、約3カ月間勝てない日々もあったが、最後までローテを守り抜き、球団高卒2年目では前田健太(現ツインズ)以来の100投球回に到達した。「反省もあったが、いい経験もできた」と左腕。今季の成績は17試合4勝7敗、防御率3・83も1軍での登板は大きな財産となった。

 また、高卒5年目の高橋昂も左肘手術後、約3年ぶりの白星を飾るなど復活を見せた。

 救援陣は栗林につなぐ勝ちパターンが流動的だった中、新人の森浦が1年間1軍に帯同し、チーム最多の54試合登板とフル回転した。17ホールドを挙げ、2007年の上野弘文が保持していた球団新人記録の7ホールドを大幅に更新。また、育成出身のコルニエルやシーズン終盤に勝利の方程式の一角を担った島内がともに50試合以上登板するなど奮闘。ブルペンを支えた。

 野手では同期入団の高卒3年目コンビが躍動した。林はチームのコロナ禍によって5月中旬に昇格するとそのチャンスを生かした。スタメン起用に応え、三塁のレギュラーに定着。6月13日のオリックス戦以降は全試合スタメンに名を連ね、計102試合に出場。規定打席は未到達も打率・266、10本塁打、40打点の成績を残した。一時は4番を務めるなど、長距離砲としての片りんを示した。

 小園は4月下旬に昇格すると不振の田中広に代わり、遊撃のポジションを奪取。新型コロナウイルス感染で一時離脱したこともあったが、中盤以降は上位打線に座り、攻守にわたってチームに貢献した。自身初の規定打席に到達し、打率・298でリーグ10傑入り。チーム2位の65得点を挙げ、大きな戦力となった。佐々岡監督は「成長したと思う。来年につながる」と活躍ぶりに目を細めた。

 チームは3年連続Bクラスに終わったが、レギュラー組の不振や離脱は若鯉にとってはアピールする絶好の機会となった。下からの突き上げは中堅、ベテランの刺激となり、チーム内の競争力は高まる。再び強い広島を取り戻すためには、若手が来季も安定した成績を残し、さらなる飛躍を遂げることが求められる。

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