大瀬良、勇気の7回0封 エースの粘りが勝利を呼んだ
「広島4-0阪神」(2日、甲子園球場)
勝利の瞬間を、大瀬良は誰よりも喜んだ。自身に白星こそつかなかったものの、先発の役目を果たす110球だ。「粘り強く投げられた」。チームに勇気を与える7回7安打無失点で、また一歩、真のエースへの階段を上った。
決して状態が良かった訳ではない。序盤は会沢の構えたミット通りに投げられなかった。それでも微調整しながら要所で踏ん張る。「修正能力は大したもの」。女房役は目尻を下げた。
阪神先発・岩田とのしびれる投手戦。「(岩田は)気持ちが入っていたし、負けないようにと思って」と右腕を振った。0-0の七回2死満塁では糸原を中飛に打ち取る。大アウェーの中でも強気に攻め、ピンチをしのいだ。緒方監督は「苦しい場面でしっかり投げ抜いてくれた」とねぎらった。
5月1日の午前0時直前、大瀬良は宿舎の部屋で歯磨きをしていたという。「磨きながらまたぐのは嫌だな」と急いで磨き終え、すっきりとした状態で令和を迎えた。「結果を残していく中で、そういう(エースの)立ち位置を確立していきたい」。新時代へ向け、気持ちを新たにした。
連敗を4で止めた快投劇が、チームに新たな上昇気流をもたらした。「0-0とか、緊迫した展開で自分の仕事ができるようになりたい」と前を見据えた背番号「14」。一歩ずつ信頼を積み重ねていく。