「新井さ~ん」浩二超え!引退表明後初スタメンで歴代10位の80犠飛

 「中日6-5広島」(8日、ナゴヤドーム)

 広島の新井貴浩内野手(41)が、引退表明後初めて「6番・一塁」でスタメン出場し、1安打1打点。五回の右犠飛で通算1300打点とした。通算80犠飛は、恩師でもある山本浩二氏を抜いて歴代単独10位となった。チームは今季3度目の4連敗を喫し、優勝へのマジックは「10」のまま。9日は今季最後のナゴヤドームでの一戦。勝利で飾り広島に戻る。

 スタンドから聞こえる「新井さ~ん」の声に燃えないはずがない。大きな背中で、大歓声を受け止めた新井が1安打1打点だ。一塁の守備や走塁でも視線を独り占めする全力プレー。「声援?もちろん届いている。ありがたい」。5日の現役引退表明後、初スタメン出場となる「6番・一塁」で、その存在感は際立っていた。

 二回の第1打席で中前へクリーンヒット。五回は同点とし、なお1死満塁で一時勝ち越しとなる右犠飛を放った。「最低限の仕事ができて良かった」。1打席1打席が、日本野球史に刻まれる。史上17人目の節目の1300打点。通算80犠飛は、尊敬するミスター赤ヘル・山本浩二氏を抜いて歴代単独10位になった。

 どんな状況でも一切手を抜かないのも新井らしさ。五回無死一塁では大島の打球をダイビングキャッチ。八回の打席では歯を食いしばって一塁へ走り、振り逃げを勝ちとった。「当たり前のことだから」。サラリと言ってのける姿が頼もしい。

 ナゴヤドームには思い出がいっぱい詰まっている。ルーキーだった99年4月3日の中日戦。代打でプロ初出場したのがこの球場だ。さらに苦い記憶も。同年9月21日。五回無死満塁から小山田がゴメスを投ゴロ併殺打に仕留めた。だがアウトカウントを間違えていた一塁手・新井はチェンジと勘違い。中日・仁村一塁ベースコーチに球をトスしてしまった。一塁ファウルゾーンに球が転々とする間に二塁走者が生還した。

 「仁村さんが体をくの字にして球を避けてね。アッと思った。達川監督にめちゃめちゃ怒られたよ。(相手の)星野監督には『お前、良いヤツだな』って言われたのを覚えている(苦笑)」。19年前の出来事を懐かしそうに振り返った。

 リーグ3連覇、そしてその先にある日本一へ向けての戦いが続く。引退試合は予定されておらず、真剣勝負の1試合1試合が自身にとっての引退試合だ。プロ20年目。9日は今季最後のナゴヤドームだ。「全力で駆け抜けたい」。すべてを出し尽くし勝利を呼び込む風となる。

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