元名スカウトがマエケンの活躍を予言

 広島で30年近くスカウトを務め、現在は日本福祉大学で特別コーチ兼チーム編成部長を務める宮本洋二郎氏が11日、広島からポスティングシステムを利用し、米大リーグ・ドジャース入りを決めた前田健太投手(27)の活躍に太鼓判を押した。

 前田の担当スカウトとして、単独指名での獲得に尽力。この日、移籍報告会見に臨んだ前田は、同氏への感謝の言葉を述べた。

 「高校を卒業して広島東洋カープに1位指名していただいた。本当にうれしかったし、スカウトの宮本さんに毎日、スーツ姿で足を運んでもらって、単独指名で僕を評価してもらって、ここまで来ることができました」

 会見前に前田から2度、携帯電話に着信があったという。所用で行き違いになったが、同氏は会見の言葉を伝え聞くと、涙ながらに思い出を振り返った。06年のドラフトは田中将大投手(ヤンキース)、坂本勇人内野手(巨人)、大嶺祐太投手(ロッテ)ら高校生が豊作だったが、一貫して前田を推薦した。

 「彼は技術だけではなく内面も素晴らしい。プロになるためには技術だけじゃなく、人間性も必要。彼はそれを合わせ持っていた」

 1位指名決定の5月以降は、担当スカウトとしてPL学園に日参した。同氏の関心は投手として、人としての内面。ただ、それだけだったという。ある試合で、自信は確信に変わった。マウンドに立つ姿ではなく、左翼で出場した試合だった。

 「三塁のベンチから、チェンジになってレフトに守りに行く。一直線に走れば近いのに、必ずいったんマウンドへ行って、投手に声を掛ける。エースが投げないんだから、そんな強い相手じゃない。それでも、そんな気遣いができる。そういう人間性がすごかった」

 10年も前の1試合を、昨日のことのように話した。強烈なインパクトを残した18歳は、同氏の眼力通りカープ、日本のエースに成長。世界最高峰の舞台に挑戦する権利を得た。「カープの代表というよりも、日本プロ野球の代表として行ってきてほしい」。同氏はそう前置きした上で「テレビで応援しているし、一度は試合を見に行ってみたい。飛行機は嫌いだけどね」と笑った。

 誰より前田の投球を知る男は、メジャーでの活躍を断言する。「彼ならきっと活躍できる。体が一番大事。奥さんと子供のためにも、頑張ってほしい」。最後は“親心”をのぞかせながら、温かくエールを送った。

 「僕は本当に人に恵まれたと思っています。みなさんの後押しがあったから、今の自分がある。いろんな人に助けられた。幸せ者だと、離れることが決まってからあらためて思います」とは前田。支えられる人々の思いを胸に、世界に羽ばたいていく。

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