石井コーチが打撃コーチ転任で改革へ
広島・石井琢朗1軍守備走塁コーチ(45)が来季、1軍打撃コーチに転任することが、24日までに正式に固まった。14日から始まった秋季練習では、チューブやメディシンボールなどを使った練習方法を導入。石井流改革で、リーグワーストのチーム三振数1082個から大幅減を実現し、得点力不足を解消する。
選手の叫び声がグラウンドに響く。「A」、「に」、「1」。ボールに黒マジックで文字や数字を書き、トスした球を、構えた打者が読み取る特殊トレ。発案者は石井コーチ。2012年の現役引退後から3年間、守備走塁部門を支えてきたが、来季から打撃コーチ転任が決まった。掲げたのは勝負どころの得点力アップだ。
3年連続のCS出場を逃し、今シーズンは4位で終了。チームワースト記録を更新する、25試合連続1桁安打など得点力不足、特に終盤は決定打不足に泣いた。改善に向けて石井コーチは「数字に表れない得点の取り方があると思う」と言う。
強調したのは、意味のあるアウトを増やすこと。「アウトのとらえ方にも目を向ける。いかに有効打、プレッシャーを与える打撃ができるか」。本塁打、安打は難しくても、進塁打やゴロを打つことはできる。リーグ優勝したヤクルトと比較した時、最も大きな差があったのが三振数だ。
「バットに当てたら、何が起こるか分からない。相手にプレッシャーをかけることができる。いかにマイナスの要素を、プラスに持っていけるかが大事」
今季、チームの総三振数はリーグワーストの1082。ヤクルトは同最少の909で173の差がある。歴代11位、通算2432安打を誇る石井コーチは「年間を通しての三振数を減らす」と説明。そのために秋季練習では、さまざまな特殊トレーニングを導入する。
丸には軸足にチューブを巻き、体重移動の意識を植え付けた。全体の打撃練習前にはメディシンボールを、体全体を使って投げさせる。この日は「目で追えなくなると上半身に力が入る。目の重要性をもう一度、認識してもらいたい」と動体視力を養うために、ボールに書いた文字を読み取る練習を導入した。
今季、1点差試合は21勝24敗。延長戦は4勝9敗3分けで“あと1本”に泣いた。「打てなくなった時に、打つだけになってしまう。(修正に)いろんなところからアプローチをしていかないと」と石井コーチ。経験、実績に裏打ちされた打撃技術を注入し、チームを得点力アップに導いていく。