「オープン戦、広島２-２阪神」（２２日、コザしんきん）

　破天荒な“鯉デビュー”だった。九回に新戦力右腕の広島・一岡が登板したが、田中の失策から２連打で無死満塁。絶体絶命の大ピンチが襲ったが、ここから圧巻の投球で後続の３人を打ち取り、０点に抑えた。

　追い込まれてからスイッチが入った。無死満塁になるまで直球は１４０キロ前半だったが、１死後に迎えた中谷を１４９キロの剛球で見逃し三振。続く上本への２球目も１４９キロをマークし、最後はフォークで空振り三振に仕留めた。

　登板後は苦笑いしかなかった。「無死満塁になったときは“１点くらいいいかな”と思ったけど、“やっぱり１点も取られたくない”と気持ちを入れ替えた」。心の中はぐらぐらと揺れたが、最後は前向きな姿勢が気迫の投球となった。

　野村監督も素直に喜べなかった。「一岡には期待している」と前置きしながらも、「ファイタータイプの投手だから、大けがする可能性がある。もっと引いた投球をしてもいいのではないかと本人には伝えた」と登板後の会話を明かした。

　指揮官の中では「後ろ（セットアッパー）を任せる予定」と今季の構想に入っている。その期待に応えたい一岡は「オープン戦は無失点に抑えるのが目標」ときっぱり。結果はもちろん、次は信頼感を得る投球を披露する。