前田智泣いた…162日ぶり打席は三振

 「広島7-2阪神」(2日、マツダ)

 今季限りの引退を表明した広島の前田智徳外野手(42)が、162日ぶりに打席に立った。七回1死一塁で、代打で登場。4月23日ヤクルト戦(神宮)以来の打席は空振り三振に終わったが、3万を超える大観衆から割れんばかりの拍手が送られた。3日は、いよいよ引退試合。背番号1が正真正銘、最後の打席に臨む。

 どよめき、悲鳴、そして大歓声が、マツダスタジアムで渦巻いた。七回1死一塁。「今井に代わりまして、代打、前田」。背番号1が162日ぶりの打席へ、ゆっくりと歩を進めた。

 もう3万人を超える観客は狂喜乱舞だ。左手首を骨折した4月23日以来、前田智がグラウンドに戻ってきた。観客席から無数のカメラのフラッシュ。異様な雰囲気の中、初球、2球といずれも直球を見逃し、2ストライクと追い込まれた。

 ぐっと来たのか、目頭を押さえる場面もあった。そして3球目。前田智は玉置の投じたフォークにこん身のスイングを見せたが、バットは無情にも空を切った。空振り三振に一瞬、球場内からため息が漏れたが、すぐに大きな拍手に変わった。

 前田智は、久しぶりの打席を楽しんだ。「よかったです、ケガをせずに。球が見えなかった。(球速)144、143と来たが、手が出なかった。そしてフォークがピュッと来て、クルッと回って終わりです」。前田智自身は3日の中日戦のみの出場を希望していただけに、まさに“サプライズ”。野村監督は「ベンチに入っているんで、準備してもらっているわけだし」と話した。

 打席に入るときのファンの大歓声には感激したという。「やばかったです。やばかった。やばかった」。こぼれ落ちようとする涙を必死にこらえた。

 試合前の練習後、阪神ベンチを訪れ、広島入団当時の打撃コーチだった水谷チーフ打撃コーチにあいさつした。恩師から「これからの方が人生長い。これから勉強して教えるようにしないとあかんで」と声を掛けられると、思わず同コーチの胸に顔をうずめて号泣した。前田智は「(涙は)厳しい練習を思い出したので…」とつぶやいた。

 いよいよ3日は引退試合だ。「ゴロで走ってピリッとならなくてよかった。明日(3日)は打ってピリッだったら全然OK。明日も今日みたいな展開を祈っています。また明日会いましょう、明日で最後なので」。ついに“前田劇場”はクライマックスを迎える。

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