代打安部V打!満塁走者一掃死闘にケリ
「中日5-8広島」(2日、豊橋)
野村鯉が高木竜と豊橋を舞台に壮絶な3位争いを繰り広げた。初回に先制を許した広島だが、四回に逆転。同点に追いつかれた後、2度勝ち越しても追いかれる消耗戦となり、試合は延長戦へ突入した。延長十二回、2死満塁から代打・安部が左越えへ適時二塁打を放ち、3点勝ち越し。激戦を制した。広島は6月27日以来、3位に浮上した。
3位の座を奪うか奪われるか。まさに死闘となった豊橋での戦い。Aクラスを賭けた中日との壮絶な打ち合いに、野村鯉も真っ向から挑んだ。延長十二回までもつれた4時間40分の死闘。最後に決めたのは伏兵だった。
5‐5で迎えた延長十二回。最後の攻撃で願ってもないチャンスが訪れた。3四球で1死満塁。だが4番のエルドレッドが遊飛に倒れて2死。続いて打席には代打の安部が立った。そして鈴木の5球目。思い切りたたいた打球は左翼の和田の頭上を越えた。走者一掃の二塁打。一気に3点を勝ち越し、勝負を決めた。
安部は「追い込まれていたが当てれば何とかなると、振りまけないようにと思った。自分のヒットで勝ててよかった」と満面に笑みを浮かべた。
鯉打線を引っ張ったのは、好調の松山だった。1点を追う四回2死一、三塁。プロ初先発の田島から初めてつくった好機で、会心の一撃は左翼フェンスに直撃した。走者を一掃する適時二塁打。「ストレートをセンター方向へ打つ準備をしていた」。思い通りの打撃で逆転に成功した。
六回にはエルドレッドが6号ソロを放ち、リードを2点に広げた。盛り上がる三塁ベンチ。左翼席の鯉党も大きく揺れた。しかし、これはまれに見る打撃戦の幕開けにすぎなかった。
六回に野村が崩れ、同点とされたが、七回に菊池の押し出し四球で勝ち越し。その裏に救援陣が崩れ、再び同点にされても、八回に松山が右中間席へ、再び勝ち越しとなる6号ソロ。「落ちるボールは頭にあった。うまくすくい上げて打てた」と振り返った。
3度のリードを守れず、4度目のリードで白星をつかんだ。疲れた表情の野村監督は「延長十二回に入り中日に勝てるイメージはない中で、打ち勝ったことは褒めてあげた」と白い歯を見せた。これでチームも3位に浮上。総力戦でつかんだ勝利は、チームに勢いをもたらすはずだ。
