新井コーチ頭部骨折…ルイスの打球直撃

 広島の新井宏昌打撃コーチ(61)が14日、札幌ドームでの全体練習中に打球を頭部に受け、骨折した。この日1軍に合流したフレッド・ルイス外野手(32)にティー打撃のトスを上げた時に、打球が額付近に直撃。その場に倒れ込み、札幌市内の病院に運ばれた。検査の結果、「前頭部挫創、頭蓋骨骨折」と診断されたが、脳には出血など異常は見られなかった。

 6連勝を目指し、活気あふれていたグラウンドに、突然、緊張感が走った。ティー打撃を行うルイスに付き添い、背中側から球を投げ、指導していた新井打撃コーチ。その時、打球が至近距離で新井打撃コーチの顔面に直撃。白球が大きく跳ね上がると、そのまま防球ネットに頭をもたれるように倒れ込んだ。

 ただ事ではないのは明らかだった。練習はいったん中止。倒れたまま動けない新井コーチの額からは血が流れだし、野村監督や石井トレーナー部長らが駆け寄ると、「救急車を呼んで」という声が札幌ドーム内に響いた。

 止血などの緊急処置がなされ、数分後に救急隊員が到着。新井コーチは担架に乗せられ、救急車で搬送されていった。すぐに札幌市内の病院でレントゲン検査やCT検査を受け、「前頭部挫創、頭蓋骨骨折」と診断された。ただ脳には異常が認められなかった。この日は入院して経過観察し、15日にはMRI検査を受ける予定。1週間の安静が必要で、全治4週間の見込みだ。

 練習を終え、札幌市内の宿舎に戻った野村監督は、すぐに新井コーチが運ばれた病院に駆けつけた。面会後、「骨折して何針か縫ったみたい。本人は大丈夫と言っているけど、脳は一番心配。明日(15日)は休んでくださいと伝えた。『フレディにも気にするなと言っておいてくれ』と言われたよ」と話した。

 さすがにルイスの表情は暗かった。打撃不振で5月25日に出場選手登録を抹消されたが、2軍で結果を出し、1軍に合流した矢先の出来事。新井コーチの負傷については言葉を失いながらも、「チームの期待には応えたい。まだ自分の役割は分からないが、ボールをしっかり見て打つだけ」と神妙な面持ちで語った。

 得点力不足の鯉打線を再建するために新加入した新井コーチ。ここに来て“新井効果”が表れ、打線の状態は上向きだし、チームは5連勝。野村鯉には欠かせない存在となっていただけに、早期復帰を祈るばかりだ。

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