堂林1号も3三振…野村監督おかんむり
「広島6-1阪神」(7日、マツダ)
強く降り出した雨を、プリンスのバットが切り裂いた。二回1死走者なしで、リードは1点。追加点が欲しい場面で、堂林が放った打球は大きな弧を描いた。赤い雨がっぱで埋まった右翼席に突き刺さった白球。今季初アーチはチームを勢いづける一発だった。
昨季チーム最多の14本塁打をマークしたが、今年の1本目は開幕から28打席目だった。球団広報を通じ、「しっかりと自分のスイングでイメージ通りの打球が打てた」とコメント。忘れてかけていた感覚を、やっと思い出した。
ただ素直には喜べなかった。2打席目以降は3打席連続三振。その内、2つは新人の藤浪に喫したものだ。昨季球団記録の150三振の悪夢がよみがえる姿に、野村監督は「あの1本だけじゃね。本塁打の後に3打席連続三振…何を考えているのか。あの1本で乗っていかないといけないのに」とため息を漏らした。
さらに昨季リーグワーストの29失策を記録した守備でも今季初失策を犯してしまった。七回、新井のゴロを処理後、一塁へ悪送球。三振、失策と失態の連続で、本塁打が遠くかすんでしまった。
試合後、険しい表情でロッカー室から飛び出すと、待ち受ける報道陣を振り切り、無言で球場を後にした。いい意味でも悪い意味でも“持ち味”が出た堂林。まだ発展途上の若武者だけに、1本の本塁打で喜んでいる暇はない。
