ホームラン数激減のプロ野球界に何が起きている?「投高打低」の現代プロ野球に野田浩司氏が持論

 プロ野球各球団の対戦カードが一巡したが、この段階における本塁打数が昨年比でセ、パ両リーグともに激減している。単なる偶然なのか。デイリースポーツウェブ評論家の野田浩司氏は「投高打低は近年の傾向だが、今年はより顕著」と語り“投打バランス”の行方に注目する。

  ◇  ◇

 今年はホームランが異常に少ないですよね。全体的に。先日は野球のテレビ解説中、これはいった!思った途端に打球が失速してアウト。今年はボールが飛ばなくなっているのかな、と疑ったほどですよ。

 投手の力に打者が押されているということなんでしょうが、それにしても昨年に比べてかなり少ない。ロースコアの接戦も多い。その中で阪神の10本は目立ってますけどね。

 (両リーグとも、ひと通りの対戦を終えた4月14日時点でセの総本塁打数は32。パは34。合計66本は昨年の同条件98本に比べて約2/3。通年でセ643本、パ607本の昨年の数字にどこまで迫れるか)

 春先は投手有利と言われるけど、今年はちょっと極端すぎる。ただ傾向として、投手のレベルが年々上がってきているのは確か。巨人と中日のチーム防御率が1点台というのは驚きだけど、開幕して5~6試合の数字ではないですからね。

 投手のレベルアップにはいくつかの理由があると思う。最先端技術を導入したデータ解析や先進のトレーニング方法などを採り入れて、投手のポテンシャルはどんどん上がっています。

 「打者は体力的にいくらでも練習できるが、ボールを投げる投手には限界がある」と言われた時代とは取り組み方が変わってきている。

 ひと昔前に比べてマウンドの形状も変化しています。今はどの球場のマウンドも土が固い。軟らかいと踏み出した先の足場が掘れて踏ん張りがきかなくなるが、固いと足裏で土をつかむ“グリップ力”が優り、力強い質のいい球が投げられる。社会人を指導していた時の経験でも、実際に投手の球速が増しているのが分かった。

 もうひとつは、今では常識になった“完全分業制”の働き方ですね。先発投手は6回100球が目安で、中には5回というケースもある。あとから出てくるリリーフ投手は、1イニングを全力で投げて次々にリレーしていくから、そう簡単には打てない。

 先発完投が常識だった時代は「4度の打席で目慣らしができる」というゆとりみたいなものがあったが、今はそうもいかないですからね。

 そもそも理屈上は、主導権を握れる投手が有利だとは思います。投手は走者がいるかいないか、クイックで投げるどうかぐらい。“自分の投球をする”ということを優先して投げればいい。

 受け身の打者はすべてを投手に合わせていかないといけないので、考えることが多い難しいスポーツだと思う。

 投手10傑に防御率1点台や2点台がズラリと並び、打撃10傑に3割打者が数えるほどになった近年。

 この先、どこまで投高打低が続くのか。今シーズン終了後にどうなっているのか。はっきりしたことは分からないが、過去に活躍した名投手、強打者はお互いに相手を越えようと切磋琢磨してきたのでしょうから“投打のライバル関係”は続くんでしょうね。

 実在の投手との対戦形式で、ボールの回転数や回転軸、配球、球速などを自在に再現できるバーチャルマシンがあるみたいだから、今後打者はそういうものを駆使することになるのかな。興味深いですね。

関連ニュース

編集者のオススメ記事

野球最新ニュース

もっとみる

    スコア速報

    主要ニュース

    ランキング(野球)

    話題の写真ランキング

    写真

    デイリーおすすめアイテム

    リアルタイムランキング

    注目トピックス