天理3発で4強 8番山口連発、61号&62号

 「全国高校野球選手権・準々決勝、天理13-9明豊」(20日、甲子園球場)

 準々決勝4試合が行われ、4強が出そろった。天理(奈良)は山口乃義(だいき)内野手(3年)が大会通算61号を放ち、2006年の大会記録を11年ぶりに更新した。公式戦0本塁打だった8番が、六回にも大会通算62号を放ってチームは快勝。夏の甲子園で通算48勝目を挙げ、PL学園と並ぶ歴代4位タイとし、優勝した1990年以来27年ぶり5度目の4強へ進出した。21日は休養日で、22日に準決勝が行われる。

 誰よりも打った本人が驚いた。初回2死一、二塁。目の前で安原健人内野手(3年)が大会記録に並ぶ60号を放った。その直後、山口が観衆を再度、興奮させた。左翼席への2者連続弾。一気に大会記録を更新した。

 「みんなで『記録、いけるんちゃう?』と話してはいたけど。まさか自分とは…。99回という長い大会の歴史に、名前を刻めたことをうれしく思う」

 守備が持ち味の8番打者。この試合まで高校通算6本塁打で、公式戦0本塁打だった。「甲子園は持っている力以上のモノを出してくれる」。本塁打がスタンドへ乱れ飛んだ今夏を象徴するような新記録弾だった。

 六回2死一、三塁は左翼席へこの試合2発目となる3ラン。3回戦・神戸国際大付戦でも延長十一回に決勝適時打を放ったラッキーボーイだが、今年は苦しい日々を過ごした。

 1年夏からベンチ入り。1年秋以降はレギュラーだったが、打撃面の課題を解消できず、今春は背番号14だった。入学後、初めての挫折。母・陽子さんの手紙が背中を押してくれた。

 「しんどいと思うけど、頑張って結果が出んかったらしゃあないよ」

 文面に涙し、落ち込んでいた気持ちが一気に晴れた。「これだけ支えてくれる人がいる。開き直って、死にものぐるいでやった」。この夏、背番号4を取り返した自信が、最高の結果につながった。

 チームは優勝した90年以来、27年ぶり5度目の4強進出。夏の甲子園は通算48勝となり、PL学園に並んだ。86年の優勝メンバーで近鉄、阪神でもプレーした中村良二監督(49)は「僕らの時代のPLはすごかったので」としみじみ話した。

 2回戦・大垣日大戦を突破後には、元PL学園監督・中村順司氏(71)から電話がかかってきたという。「『これで天理も強くなる。しっかり指導しなさい』と言っていただいた。うれしかった」。憧れの指揮官からの言葉に、気持ちはさらに奮い立っている。

 3度目の全国制覇まで、あと2勝。勢いに乗った名門は、一気に頂点まで駆け上がる。

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