CS不毛の地でDeNAが生命の息吹…対話野球追求しつかんだ悲願への第一歩

 「DeNA3-1広島」(19日、横浜スタジアム)

 DeNAが広島に3-1で勝って3位以上が確定し、球団史上初のCS進出を決めた。優勝した広島、巨人に続き、これでセのCS進出チームが出そろった。DeNAは10月8日開幕のCSファーストステージで巨人と対戦する。

 荒れ果てた土地に、一輪の花が咲いた。横浜、そしてDeNAは06年から昨季まで、10年連続Bクラス。07年から導入されたCSには12球団で唯一出場したことがなかった。CS不毛の地、横浜で、DeNAが球団経営に乗り出して5年。生命の息吹をもたらした。

 作業は荒野を切り開くところから始まった。12年、DeNA初代監督として中畑清氏が就任した。春季キャンプで全員を集めてのあいさつに、選手たちからは何も返ってこなかった。「あいさつに対して、反応がないのはイヤなんだ。反応し、呼応し合う。そういうところが大事なんだよ」。スタートは野球以前のところだった。

 開花させねばならない種は、現有戦力の中で見つけ出した。12年に抜てきした梶谷は今や欠かせぬ主力。筒香は13年秋季キャンプのメンバーから外れ、突き放されたことで殻を破った。14年に先発に転向した山口は、エースに成長。15年は新人の山崎康が守護神に定着。耕した土地に種をまいてきた。

 肥やしになったのは、球団のソフト面、ハード面でのサポートだ。高田GMが陣頭指揮をとったドラフト戦略は一貫していた。1位で最高評価の選手を、2位以下で補強ポイントにかなう選手を指名する方針。14年は0勝だった左腕先発投手は、今季は石田、今永、砂田と3人が勝ち星を挙げた。左腕不足は2年で左腕王国に変わっていた。

 ソフト面の肥料は満員の観衆だ。球団は米球界、NFLなどを視察。そのスタイルを導入し、多種多様な席種を用意し、目新しいイベントを実施した。昨季の観客動員は横浜時代の2011年から165%増。今年3月に横浜スタジアムを買収し、ファンサービスを拡充。この日で今季の観客動員数は188万2257人となり、98年を上回る球団史上最多を記録した。ファンの目が、声援が、成長の糧となった。

 種をまき、肥料を得て芽吹いた。そこに花を咲かせたのはラミレス監督だった。

 1年目の監督は理想と現実の違いに、柔軟に対処するすべを知っていた。典型的な例は5月1日・阪神戦(甲子園)。6-1と5点リードの七回、無死満塁としたところで先発・山口を降板させて、逆転負けを喫した。「あの後、山口と話した。『自分はもっと球数を投げられる』と言っていた。次からは考えるようになった」

 もともと基本としていた対話路線をさらに進めた。「選手の特性を知ることで、それがより采配に生きてきていると思う」。シーズンが深まるにつれて、茎を伸ばし、大きくたくましく成長した。

 CS出場という形で、開花。指揮官は「CSクリンチナンバーでなく、マジックを減らすときが、近い将来、来ると思う」と力強い。まだ、借金はある。満足する数字ではない。優勝という目標に達したとき、この日咲いた一輪の花は、花畑となり、大地を埋め尽くす。

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