樟南・浜屋、プロは“回り道”で 元ロッテ青野コーチと師弟関係

 「全国高校野球・2回戦、花咲徳栄6-3樟南」(15日、甲子園球場)

 もう涙は出なかった。心の中で踏ん切りをつけた。「プロ志望届は出しません」と明かした樟南の浜屋。小さい頃から憧れていたプロの世界へ-。聖地での敗戦が左腕に“回り道”することを選択させた。

 入学直後ある出会いがあった。樟南を99年に夏4強、00年夏はエース、主将、4番の大黒柱で8強へ導いた元ロッテの青野毅コーチ(33)。07年にパ・リーグの首位打者争いを演じながら右肩けん板断裂でリタイアし引退。2年前から母校で後輩の指導に当たっていた。

 「プロに行きたいんか?」という問いに「行きたいです!」と返した浜屋。「じゃあ、これからそう接するぞ」と課されたのは試合でのノルマだった。

 「技術的なことは言われないんですが、試合の時に必ず○奪三振とかを設定されました」。ただ勝つだけじゃ認められない。スカウトの注目を集めるためには、他を圧倒する数字が必要だった。

 厳しい走り込み、投げ込みもプロに行くために耐えた。鹿児島大会の序盤に疲労性の骨盤捻挫と診断されても左腕を振った。最速143キロの直球は聖地で影を潜めたが「楽しめました」と笑った浜屋。「青野コーチにはありがとうございましたと言います」。プロという絆で結ばれた師弟関係は、これからも礎になっていく。

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