明石商、公立校の意地だ バント革命
「選抜高校野球・1回戦、明石商3-2日南学園」(22日、甲子園球場)
春夏通じて初出場の明石商が3-2で日南学園を下し、甲子園初勝利を挙げた。同点の九回、1死満塁でサヨナラスクイズを決めるなど、得意のバントで堅実に勝利を引き寄せた。情報分析に基づく犠打の多用で甲子園に“バント革命”を巻き起こした。
伝令に尻をたたかれた藤井は「ウォーッ」とほえた。その気合はフルスイングする打者のそれだ。しかし、構えはバント。同点の九回1死満塁、カウント1-1から丁寧に投前へ転がした。好守を誇る日南学園・森山の前で三走・松下が本塁を駆け抜ける。ナインの歓喜が爆発した。
「しびれましたね」。狭間善徳監督(51)は初のお立ち台で開口一番。「うちの野球はバントで送って少ないチャンスをものにする」。徹底していた。走者はことごとくバントで送り好機を広げた。
昨秋の公式戦では、今大会出場校トップの1試合平均4・75の犠打を用いた。この日も犠打のサインを8度出し6犠打(サヨナラスクイズは安打)を記録。県内出身者ばかりの公立校に身長180センチを超える選手はベンチに1人しかいない。勝つために生み出したのが“バント革命”だ。
実戦形式のバント練習を毎日1時間。狭間監督は「140キロの投手なら捕手に到達するまで0・43秒。その間に(対応を)考えて生かせ」と指導する。
精度を追求するだけではない。明徳義塾中で監督として4度全国制覇した指揮官は、同高の馬淵史郎監督の下でコーチも務めた。恩師と同様に情報戦には絶対の自信を持つ。
九回1死満塁の場面で三走は封殺の可能性がある。ただ三走のスタートが視界に入らない左腕の森山と捕手・萩原のバッテリーに、隙があることを見抜いていた。狭間監督は「森山君がゆっくりと足を上げると普通は捕手が三走を見るが(萩原は)見ない。普通なら(バントを外されて)アウトのタイミング」と説明。映像で徹底分析したたまものだった。
同点スクイズを決めた大西は「バントは簡単に見えて実は脅威に感じるもの。こだわりを持ってやってきた」と胸を張った。近くて遠かった甲子園。その初の聖地で臆することなく本領を発揮した。




