ヤクルトがサヨナラV、真中監督舞った
「ヤクルト2‐1阪神」(2日、神宮球場)
ヤクルトが2日、14年ぶりのリーグ制覇を果たした。延長十一回の末に阪神を下し、サヨナラ勝ち。目を真っ赤に腫らした就任1年目の真中満監督(44)が7度宙に舞った。2年連続リーグ最下位のチームを見事に立て直し、悲願を成就させた。ヤクルトは7度目のリーグ優勝。CSはファイナルSから出場し、14年ぶり6度目の日本一を目指す。
常に笑顔を絶やさない男が、この時ばかりは思わず目頭を熱くした。苦しみ抜いた末に訪れた歓喜の時。神宮の夜空の下、真中監督が7度宙に舞った。
今季141試合目、延長十一回の死闘を制してつかんだ14年ぶりのセ・リーグ制覇。前年最下位からの優勝は史上5度目、新人監督では史上2人目の快挙。真中監督は「すばらしいですね。私も含めて選手も本当にずっと苦しい思いで戦っていたので、一瞬力が抜けるような感じでした」と感無量の表情を浮かべた。
ヤクルト本社創立80周年の節目に、2年連続最下位に沈んだチームの再建を託された指揮官。スローガンにはチームの意識、行動、すべてを変える意味を込めた「つばめ改革」を掲げ、キャンプから選手に自ら考えて動く自主性を浸透させた。
理想は自身もメンバーに名を連ねて日本一に輝いた01年のチーム。「レギュラーだけではなく、控えの選手もやるべきことにしっかり取り組んで、みんなで勝ち上がった」。チーム一丸での優勝を目指した。
選手とコーチを信頼し、自ら細かく指導することはなく、試合前ミーティングにもほとんど顔を出さない。三木作戦兼内野守備走塁コーチが「うまくいっても、いかなくても仕方ない。でも、みんなで頑張ろう、と大きく見守ってくれる存在。周りは何とか力になりたいと思う」と監督像を語る。真中監督が見守った選手は伸び伸びとプレーした。
開幕直後は好調で、首位にも立った。しかし間もなくどん底を味わう。5月4日から9連敗を喫し、首位から瞬く間に最下位に転落。陽気な指揮官も「あの時は6連敗ぐらいまでは落ち込んだ」と言う。だが、それが信念を強くした。
「監督をやらせてもらって1カ月余りで9連敗。自分の試練だと前向きに捉えた。早い段階でこんなにすばらしい勉強をさせてもらっている。負けているチームを見ていると、少し消極的になったり、何か動かなくちゃいけないんじゃないかと思ったり、いろいろやってしまうんだなと感じた。泥沼の何連敗とか言うけど、泥沼は動けば動くほどハマる。気にせずに自分たちのプレーをしよう、自分の思っていることをやろうと吹っ切れた」
ぶれることなく貫いた普段着野球。1年目で頂点まで上り詰めた。
最後は今季最多3万3986人の観衆に「ファンのみなさん、優勝おめでとうございます」と、01年のチームを率いた当時の若松勉監督と同じ言葉を贈った。「選手、コーチ、フロント、みんなに恵まれた。胴上げまでしてもらって、本当に幸せ」と感謝とともに喜びをかみしめた12球団最年少監督。90年代に続くヤクルト黄金時代の扉を開けようとしている。





