早実完敗…16歳、初めて流した清宮の涙

 「全国高校野球・準決勝、仙台育英7-0早実」(19日、甲子園)

 怪物ルーキーの夏が終わった。早実(西東京)は仙台育英(宮城)に完封負けし、9年ぶりの決勝進出はならなかった。清宮幸太郎内野手(1年)は3打数1安打。初回に併殺打を喫するなど、主軸の働きを果たせず、悔し涙を流した。2試合連続本塁打、8打点の大活躍で空前のフィーバーを起こした16歳は、再び聖地に戻ってくることを誓った。

 汗がしみ込んだ黒土を、鮮やかな緑の芝を、雄大なスタンドを、目に焼き付けておきたかった。バックネット前で、何度もグラウンドを振り返った清宮の瞳に、みるみる涙が浮かんだ。「もうここを去らなきゃいけないんだなと思うと…。上級生の方々と野球ができないことが、悔しくて仕方ない」。すすり泣きながら、思いをさらけ出した。

 これまでのように、打線のけん引役にはなれなかった。初回1死一塁では、140キロの直球に二ゴロ併殺。三回に二塁内野安打を放ったものの「球速以上にキレと伸びがあった」という仙台育英・佐藤世に対し、本来の打撃はできなかった。

 リトル時代もシニア時代も、負けて泣いたことはなかった。野球人生で初めて流した悔し涙。感極まったのは、上級生への感謝があったからだ。

 主将・加藤らが中心となって厳しい上下関係を取り払い、下級生も伸び伸びと野球ができる環境づくりに腐心。雑用を頼む際も命令口調ではなく、下級生に気付かせるようにした。今大会中は注目が集中する清宮を守るため、ナインは全員で行動した。

 みんなに支えられ、笑顔で過ごせた初めての聖地。だから、清宮は「感謝してもしきれない。生まれ変わっても、もう一度この上級生のみなさんと野球がやりたい」と、唇を震わせた。そんな後輩に、加藤は「あと4回帰ってきて、全部ホームランを打って、高校球史に残るバッターになってほしい」とエールを送った。

 大会出場選手が記入するアンケート。清宮は将来の夢について「プロ野…」という文字を消した後「世界を代表するバッター」と記した。佐藤世の実力を認めつつ、相手が上だったかという問いには「そこは…悔しいので」と、負けを認める言葉は口にしなかった。もちろん、土は持ち帰らなかった。

 涙が流れたもう一つの理由を「(甲子園への)思い入れですかね」と振り返った清宮は「もっと練習して、絶対に戻ってきたい」と誓った。高校野球100年の節目に現れた怪物ルーキー。この夏は伝説の序章にすぎない。

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