力尽きた新庄・田中、夏こそ父超える

 「選抜高校野球・2回戦、桐生第一4‐0新庄」(30日、甲子園)

 父との約束を果たすことはできなかった。2日間にわたる死闘。勝利の女神は、田中啓輔捕手(3年)ら新庄ナインにほほえまなかった。「父に『超えてくれ』と言われていたので勝ちたかった」。疲労と悔しさが入り交じった声で、残念そうに振り返った。

 父・一郎さん(44)は、広島商の4番・一塁手として87年春、夏の2度、甲子園に出場した。春は優勝したPL学園と2回戦で当たり、後にプロ入りする野村(元横浜)から安打を放ったが完敗。夏は初戦で敗れた。

 その活躍を収めた映像は、小学生の時に一度だけ見た。「親が甲子園に行っていたことにびっくりした」。その時から、同じ舞台に立つことが目標になった。

 普段は寮生活でメールも禁止。高校進学後、甲子園について語り合う機会はめっきり減った。それでも、父との約束を忘れたことはない。試合が近づくと、宿舎でくつろいでいる時に、ふと「父がプレーした場所なんだ」と思いをめぐらすこともあった。

 引き分け再試合はエース・山岡を攻守でもり立てられず、父と同じ2回戦で涙をのんだ。「いい舞台でもっと試合をしたかった。夏もう一回来て、次は(もっと)勝ちたい」。最後の夏、必ず戻ってくる。今度こそ、父を超える。

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