桐生第一が再試合制す…エース山田完封

 「選抜高校野球・2回戦、桐生第一4‐0新庄」(30日、甲子園)

 延長十五回引き分け再試合となった2回戦1試合が行われ、桐生第一(群馬)が4‐0で新庄(広島)を下し、初出場した1991年以来23年ぶりに準々決勝に進んだ。前日に延長15回を投げ抜いたエース・山田知輝投手(2年)が3安打完封勝利。延長戦引き分けを完投し、再試合で完封したのは、春夏通じて初の快挙となった。

 16歳の右腕が、ピッチングの神髄を披露してみせた。延長15回、163球を投じた前日の影響がないわけがない。ただひたすらに、コーナーを突き続けての3安打完封。延長戦引き分けと再試合を1人で投げ抜き、かつ再試合で完封したのは、長い甲子園の歴史でも初の快挙だ。「運もあったと思います。疲れより、楽しかった」。大柄な体に似合わない、はにかみ笑いが、山田の顔に浮かんだ。

 “異変”を素早く察知した。ブルペンの感覚は悪くなかったが、初回の球速表示を見て「スピードが出ていないな」と冷静に分析し、とにかく制球を重視した。最速135キロの直球も、大半が120キロ前後。スプリットの球速が、直球を上回る逆転現象も起きた。

 しかし、抜群の制球力は、球威不足を補って余りある。四回2死一、三塁の場面でも、内角直球で二ゴロに仕留めてピンチ脱出。「スピードがなくても際どいところに投げれば打ち取れるのがわかった。腕に力を入れず、コーナーに投げた」。プロのベテランのような投球術で、新庄打線を手玉に取った。

 指先の繊細な感覚は特筆ものだ。この日の中盤以降に威力を発揮したスプリットを覚えたのは中2の時。釜田(現楽天)を参考に、わずか1週間でマスターした。「力投型というよりは制球主体で要所に力を入れる投手。スピードに走って、いい部分がなくなってはもったいない」と福田治男監督(52)。長所を生かす指導も、大舞台での最高の結果につながった。

 31日には準々決勝が控えるが、この日最速の130キロを計測したのは、ラストボールとなる112球目だった。省エネ投法で、体力の消耗を抑えられているのは強みだ。2日間で24イニングを投げ抜いた山田は「とりあえず寝たいです」と、本音とも冗談ともつかぬ口調で笑いを誘いつつ、未体験の3連投に向けては「投げたいです」と即答した。歴史をつくった右腕なら、目指す頂点への道も切り開けるはずだ。

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